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横浜F・マリノス、Jエリートリーグ開幕戦で横浜FCに逆転勝利! ユース所属の松村晃助が2得点で猛アピール

text by 編集部 photo by Wataru Funaki

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【写真:舩木渉】



横浜F・マリノス、Jエリートリーグで横浜FCに逆転勝ち

【横浜FC 2-3 横浜F・マリノス Jエリートリーグ第1節】

 Jエリートリーグの第1節が14日に行われ、横浜F・マリノスが3-2で横浜FCに逆転勝利を収めた。



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 ユース所属の選手が多くスタメンの平均年齢が18.82歳というマリノスに対し、序盤は平均年齢22.82歳の横浜FCが主導権を握った。そして8分、マリノスの果敢なプレッシングを剥がした横浜FCはMF亀川諒史が右サイドを破り、折り返しにFWフェリペ・ヴィゼウが合わせて先制に成功した。

 マリノスを指揮した安達亮監督が「20分過ぎくらいまで、ちょっと慣れていないというか、バタバタしていて非常にもったいない時間だった」と振り返ったように、トップチームの公式戦で出場機会を得ている選手の多い横浜FCが優位に試合を進め、前半を1点リードで終えた。

 横浜FCはハーフタイム明けからFW渡邉千真やMFハイネル、MF和田拓也といった経験豊富な選手を投入する。一方、マリノスは2日前に札幌でのアウェイゲームに帯同していたMF山根陸とFW樺山諒乃介を下げ、ユース所属のMF松村晃助とMF島田春人を起用した。

 対照的な選手起用の両者だったが、後半はマリノスが盛り返して攻勢に出る。すると55分、松村が反撃の狼煙となる1点を奪った。ハイネルの縦パスを高い位置でカットした松村は、「相手のパスミスを自分が奪って前を向いたところで、自分の前が空いていてゴールが見えた」と強烈なミドルシュートでゴールネットを揺らした。

 勢いに乗るマリノスは61分、味方のシュートのこぼれ球に詰めたFW内野航太郎が逆転ゴールを挙げた。しかし、横浜FCも意地を見せる。71分、相手のクリアボールを拾ったMF田部井涼がペナルティエリア内まで侵入し、角度のないところからシュートをねじ込んで再び同点に追いついた。

 経験値と総合力で上回る横浜FCだったが、最後にはマリノスが勝利した。「チャンスがあって上に行きたいというユースの子たちのモチベーションの差が一番、運動量に出た」と安達監督が言うように、ユース所属選手が決勝点を挙げた。

 77分、左サイドを突破した途中出場のMF中原弾がクロスを上げると、逆サイドから松村が詰めて自身2得点目。「クロスの時には逆サイドの選手が入るのを意識しているので、あそこに入り込めて、いいボールが来て、触るだけでした」と、マリノスの狙いを体現するゴールでチームに勝利をもたらした。

「トップチームに所属してマリノスで試合に出ることが今の自分の一番の目標」と語る松村は、昨年からユースのみならずエリートリーグにも度々出場して経験を積んできた。新シーズンの初戦で2得点を挙げ「自分のポジションは結果で見られるポジション。今年はより結果にこだわってプレーしているので、そこがゴールという結果にうまく繋がってよかった」喜んだ。

 安達監督も「彼の個人技というよりはチームで作り出したチャンスだったので、彼が特別ということではないですけれども、その場所にいて、キチンと決められるというのは評価したい」と後半から出場して2得点を挙げた松村のパフォーマンスを称えていた。

 一方でマリノスの指揮官は、樺山やMF山根陸、FWンダウ・ターラ、DF池田航といったトップチーム所属選手たちに「もっとリーダーシップを取ってもらいたい」と求めていた。「彼らがトップチームで試合に出ても『11番目の選手』としてやることが多いので、どうしてもポンと来て、急にリーダーシップを取れといっても難しい」と理解は示すが、「身につけていかなければいけないこと」であり、「エリートリーグでは自分がチームを完全に引っ張っていき、トップチームでやっている時は何とか力になる」という意識の重要性を説いていた。

 今季ユースからトップチームに昇格してJリーグデビューも飾っている山根は、昨年もエリートリーグで数多くの試合をこなしてきた。「(トップレベルの基準を)早いうちからちょっと学んでおくことができたので、Jリーグでもある程度は自信を持ってできた」と、改めてエリートリーグを経験したことの意味を実感している。

 そのうえで「まだまだ強度を上げないといけないというのは、(エリートリーグを通して)自分も肌で感じましたし、そういったところを(ユースの選手たちに)伝えていかなければいけないパイプ役でもある。もっといいコーチングがあるだろうし、タイミングもそうだし、声色を変えるところももっと考えなければいけないなと思いました」と、リーダーとしての自覚も芽生えてきている。

「ターラくんとか、トップの選手が率先してやっていかないといけなかった」と序盤の劣勢時の振る舞いを悔やんだ樺山も、「1回のチャンスをつかまないと上にいけない、満足してはいけない立ち位置なので、常にチャレンジしてガツガツいかないと、どんどんチャンスがなくなっていくだけ。今は結果に貪欲にいかなければいけない」とプレーで周りを引っ張っていく姿勢を見せる。

 エリートリーグは、ただ若手が経験を積む場所ではなく、成長のきっかけをつかむ場所として認識されつつある。昨年11月に負傷して以来、約4ヶ月ぶりの実戦復帰を果たしたGK田川知樹も「やっぱり試合でしか感じられないこと、経験できないことはあると思う。昨年もそうですけど、エリートリーグで出場して、そこでまた課題が出て、それを克服するために(練習を)やるというサイクルがすごく自分を成長させてくれる」と実感しているところだ。

 トップチーム昇格を目指すユース所属選手が貪欲に結果を追い求め、プロの世界でステップアップを狙う若手選手も実戦経験とリーダーシップを養う。昨季1年間をかけて作り上げてきた循環が、エリートリーグ創設2年目でようやくポジティブな方向へと回り始めたか。マリノスの逆転勝利を通じて、各選手たちの成長とリーグの存在意義を改めて確認することができた。

【得点者】
8分 1-0 フェリペ・ヴィゼウ(横浜FC)
55分 1-1 松村晃助(横浜FM)
61分 1-2 内野航太郎(横浜FM)
71分 2-2 田部井涼(横浜FC)
77分 2-3 松村晃助(横浜FM)

(取材・文:舩木渉)

【了】

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