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サッカー日本代表選手たちが明かした森保一監督の凄み。不動の精神、「いつでも退く覚悟」がチームの結束を強固に【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

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森保一
【写真:Getty Images】



カタールW杯出場決定! 森保一監督は何がすごい?

【日本 2-0 オーストラリア カタールW杯アジア最終予選】

 サッカー日本代表は24日、カタールワールドカップアジア最終予選のオーストラリア代表戦に2-0で勝利を収めた。そして、1試合を残して悲願のワールドカップ出場権獲得を成し遂げた。



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 2018年のロシアワールドカップ後からチームを率いてワールドカップ出場権をつかみ取った森保一監督は「アジア最終予選を突破するのは、我々にとって本当に大きなハードルですし、難しい戦いの連続でした」と振り返る。

 そして「最終目標はワールドカップでベスト16の壁を破ってベスト8以上にいくということ。常にその基準を忘れずに、目の前の一戦一戦に全力を尽くしててきたことは、今日の試合でも生きたかなと思っています」と続けた。

 日本代表はアジア最終予選の初戦でオマーンに敗れ、その後サウジアラビア代表にも敗戦。開幕から3試合で2敗を喫し、一時は予選敗退の窮地に追い込まれた。しかし、「目の前の一戦一戦に全力を尽くす」という信念を貫く指揮官のもと奮起したチームは破竹の6連勝を果たし、ワールドカップ出場というミッションを自力で達成した。

「守りに入るのではなく、自分たちから勝ち取る、つかみ取る、(勝利は)相手が与えてくれるものではない」

 この森保監督の考え方はチームに深く浸透し、ワールドカップ予選を通じて選手たちとの信頼関係はより強固なものになっていった。

 自身4度目のアジア最終予選を戦い抜いたDF長友佑都は、「どんな時も全くブレないですね、メンタルが」と森保監督の精神力の強さを実感しながらプレーしてきた。

「2018年のワールドカップの後からなので、森保監督になって3年以上になりますけど、言動も行動も全く変わらないですね。なので、どんな状況でも、いい時も悪い時も森保監督はブレないなと感じます」

 この信念の強さがチームを結束させたのかもしれない。長友は次のように続ける。

「監督のメンタルがブレブレだと、選手に影響してしまいますし、ブレないことが一番いいのかなと。僕らはそれによって苦しい時も支えられてきています。僕も日本代表で10年以上戦わせてもらっていますけど、実際にこの最終予選は3戦で2敗をしてから、本当に一番苦しい状況になっていた。その中でも(森保監督は)ブレず、言っていることも変わらない、行動も変わらない。自信を持つというか、僕たちも絶対にネガティブになったらダメだ、ブレてはダメだということを、森保さんに教えられました」

 キャプテンの吉田麻也はアジア最終予選の序盤で2敗して窮地に立たされた時、森保監督が「いつでも退く覚悟はできていると僕らの前で話された」というエピソードを明かす。「その覚悟が選手に伝わったんじゃないか」。

 吉田が「サウジアラビア戦に負けた時とその後、オーストラリア代表に勝たなければいけない時が凄まじいプレッシャーでした」と振り返る。だが、それまでと一切変わらない姿勢で選手たちと向き合い、チームを導いた森保監督の言動や行動が日本代表の結束をさらに強くしたのではないだろうか。

 昨年夏の東京五輪まではU-24日本代表の監督も兼任し、そこでも大きな重圧に晒されていたはず。本大会では残念ながらメダル獲得を逃したが、森保監督が「1チーム2カテゴリ」を掲げて進めてきた日本サッカーの強化は、A代表のワールドカップ予選突破という形で実り始めている。

 24日のオーストラリア代表戦でも途中出場のMF三笘薫が2得点。他にもFW上田綺世、DF板倉滉、DF中山雄太、MF田中碧といった東京五輪世代の選手たちが存在感を発揮して、日本代表の勝利に貢献した。

 長友や吉田といったベテラン勢のみならず、三笘ら下の世代の選手たちにも森保監督の哲学は浸透している。

 A代表でも東京五輪代表でもキャプテンマークを巻いた吉田は「強みは後ろが安定してることと、前線にいろいろなタイプの選手がいること。(南野)拓実と(三笘)薫はタイプが違うし、タケ(久保建英)と(伊東)純也もタイプは違う。いろいなシチュエーションに合わせてメンバーを入れ替えられるし、レベルがガクッと落ちたりはしない。むしろ同じくらいの選手たちがいるところが強みなんじゃないか」と、森保ジャパンの成長に手応えを感じている。

 ワールドカップ本大会まで約半年。アジア最終予選を突破したことで、ここからまた新たな競争が始まる。既存戦力のみならず、予選では起用されてこなかった選手たちにもチャンスを与えて強化を進めていくことになるだろう。

 その中で大切になるのは、やはり進む方向を見誤らず、信念を持って戦っていくこと。長友も「(今回のアジア最終予選で)再確認できたのは、どんな時もブレずに強い気持ちで戦うことの大切さ。僕はそれに尽きるかなと思います。この先も、もっと苦しいことがあるかもしれないですけど、でも自分自身に立ち返る場所や根強い考え方ができたなと思います。これは自分自身の財産になりますね」と語っていた。これも森保監督のチームマネジメントから得た学びの1つだろう。

 カタールでの戦いに向け、限られた準備期間の中で森保監督がどんな形でチームを導いていくか楽しみだ。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】

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