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浦和レッズに罰金2000万円の可能性。「声出し応援」違反再発なら無観客試合や勝ち点剥奪も

text by 編集部 photo by Getty Images

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浦和レッズ サポーター
【写真:Getty Images】



Jリーグ、浦和レッズに上限2000万円の罰金を諮問へ

 Jリーグの野々村芳和チェアマンは5日、臨時実行委員会終了後にオンラインで会見に臨んだ。



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 その中では今月2日に行われた明治安田生命J1リーグ第19節のガンバ大阪対浦和レッズなど、複数の試合でサポーターが新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインで禁止されている「声出し応援」を繰り返した浦和レッズに対して「上限2000万円」の罰金を科すことを裁定委員会に諮問(しもん)することが明かされた。

 さらに野々村チェアマンは「この先、同じようなことがもし起こった場合には無観客試合または勝ち点を剥奪することも含めた内容で、第三者機関の裁定委員会に諮問をしたうえで決定したペナルティを課しますということをお伝えさせていただきました」と、浦和に対して再発時の追加処分の可能性についても通達したと語った。

「コロナ禍が始まってから(新型コロナウイルス感染症対応)ガイドラインがあって、それは状況に応じていろいろ変化してきてはいる。そのガイドラインに反する行為があった時は当然ながらペナルティの対象になるということ。かつ、多くの人たちが声を出してスタジアムの情熱を取り戻したいという思いを持ちながら我慢して色々な検証に参加してくれていて、もう少しで……というところまできている状況も含めて、今回のJリーグとしての判断ということになります」

 現在、Jリーグでは「声出し応援」の再開に向けた運営検証が行われている。しかし、先述のG大阪対浦和は検証の対象外だったにもかかわらず、浦和サポーターが応援歌を大合唱するなど、違反行為が確認された。

 G大阪戦のみならず5月の鹿島アントラーズ戦でも同様の「声出し応援」で問題を起こしていた浦和に対し「リーグとしても浦和に対してステートメントを出すなど再発防止策をとってくださいというコミュニケーションを現場間ではしていた」が、「今まで一度も出てきたことがなかった」と野々村チェアマンは指摘する。

 そんな中、浦和は5日にクラブ公式サイト上で「2022年7月2日(土) ガンバ大阪戦における事象について」という声明を発表し、「愛するチーム・選手を鼓舞する声を再びスタジアムに取り戻したいと願う、Jリーグに関わるすべての皆さまのこれまでの努力と気持ちを裏切る行為」とサポーターの「声出し応援」を謝罪した。

 野々村チェアマンは「これを確認した上で、58クラブみんなで同じ方向に進むということでいきますということを再確認した」と述べ、「同じ方向で進んでいくことを宣言して、かつクラブとしてのスタンスを見せたのであれば、ようやくここで我々も浦和に対して1つのアクションを取ることができるようになったと思っています」と続ける。

「僕は今日(の臨時実行委員会で)一番確認したかったのは、浦和としてのスタンス。Jリーグとして(全クラブが)同じ方向性でやっていけるのかどうか。それが同じなのであれば、こういった対応を取らないとリーグとしても他のクラブに対しても、他のクラブのサポーターに対しても示しがつかない。バランスも考えたらこういう対応になるのは仕方ないのかなと思います」

 このように述べた野々村チェアマンは厳しい処分を突きつけたことへの理解を求めたうえで「クラブが自分たちでどうやって状況を変えていくかが一番求められる。今回はその1つのきっかけになればいい」と浦和の自浄作用への期待も口にした。今回の問題の争点はサポーターの「声出し応援」そのものではなく、あくまで「声出し応援」のガイドライン違反が繰り返される状況にクラブがどのように対応してきたか、これからどんな振る舞いが求められるのかという部分にある。

「瞬間的に声が出ることに関しては許容されているもの。スタジアムで常に黙っていなければいけないということではなく、集団で長く声を出す、それも突発的に短時間ではなく、あくまで故意に行なっているものに対してクラブが管理できているか。その管理の状態をJリーグとしては見ていくことになる」

 野々村チェアマンは「声出し応援」を全面的に再開し、コロナ禍前の状態を取り戻すため「改めてJリーグとしては(政府の新型コロナウイルスに対する)基本的対処方針に則った中で、少しでも緩和される方法を探していく」と宣言した。

 そして「基本的対処方針を大幅に変えていただくような働きかけは、Jリーグとして僕が責任を持ってやっていく。いくつかのエビデンスを元に、我々サッカー界、スポーツ界と、全く違う業界の人たちも含めて、どうやったら前に進んでいけるかはまた別の方法でやっていくということは、お伝えしておきたいと思っています」と、政府に対しても規制緩和に向けた働きかけを続けていく方針を明確にしていた。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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