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宮市亮「サッカー選手をやっていてよかった」。Jリーグで初体験、両耳を震わせた横浜F・マリノスサポーターの“声”

text by 編集部 photo by Getty Images

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宮市亮
【写真:Getty Images】



日産スタジアムにサポーターの“声”が帰ってきた

 明治安田生命J1リーグ第20節が6日に行われ、横浜F・マリノスはサンフレッチェ広島に3-0で快勝した。



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 この試合はJリーグの「声出し応援運営検証対象試合」になっており、日産スタジアムではマリノス側で約3000人、広島側で約500人のファン・サポーターが声を枯らしてピッチ上の選手たちを後押しした。

「サポーターの方々が待ち望んでいた一戦だと思いますし、こうして声のあるゲームが戻ってきたのはサポーターにとっても僕らにとっても何よりだと思うので、こういう試合で勝利を分かち合えてよかったと思います」

 2試合連続ゴールでマリノスの勝利に貢献したFW宮市亮は、声援がもたらすパワーの大きさを強く実感しているようだった。「ウォーミングアップ中から声援は聞こえていましたけど、本当に鳥肌が立ちましたし、このチームに加入できて本当によかったなというのを尚感じました」とファン・サポーターへの感謝も口にする。

 後半途中からピッチに立ち、アディショナルタイムの91分にFW仲川輝人からのクロスを押し込んで今季リーグ戦3得点目。ゴールネットを揺らした宮市は、両手を耳に当てるパフォーマンスをしながらゴール裏のファン・サポーターの元へ走った。

「本当に嬉しかったですね。自分がゴールを決めたことよりも、ゴールをみんなで分かち合えた。チームメイトもサポーターも含めて、ゴール裏に行ったときに一体感があるというか、そういう瞬間が最高でした」

 高卒でイングランドへ渡り、アーセナルをはじめとして欧州で長くプレーしてきた宮市にとって、マリノスがJリーグで初めて在籍してクラブになる。コロナ禍の2021年夏に日本へ復帰したため、Jリーグのファン・サポーターによる「声出し応援」を経験するのは今回が初めてだった。

 だからこそ感慨も強い。「やっぱりチャントが日本語なので、『宮市! 宮市!』というのがちゃんと聞こえるというか(笑)。うれしかったですね」と冗談交じりで喜びを語りつつ、サッカー選手としての存在意義を改めて確認できたようだった。

「(Jリーグの声援は)本当に初めてで、なんだかすごく不思議な感覚というか。声援がない環境が当たり前になりつつあって、こうやって声が戻ってくることは『やっぱりサッカー選手をやっていてよかったな』という瞬間の1つでもある。そういう雰囲気を作ってくれたサポーターに改めて感謝したいと思います」

 マリノスは広島戦に勝ったことで、リーグ戦6連勝を達成してJ1首位を快走している。ファン・サポーターの声援にエネルギーをもらった選手たちは、チャントがあろうとなかろうと関係なく、これまで通りの姿勢で戦い続けるつもりだ。

 宮市は「本当に一戦一戦、目の前の相手に自分たちのサッカーをやり通す、突き通すところは今後も変わっていかない」と言葉力を込める。そして、謙虚な姿勢にも一切ブレはない。

「僕としては出場機会をもらえているだけですごくありがたいですし、先発だろうが後半から出ようがスタンスは変わらない。このチームのために貢献したいという思いが本当にあるので、またしっかり準備して頑張りたいと思います」

 宮市は6月1日の天皇杯3回戦・栃木SC戦で左ハムストリングの肉離れを負って全治4週間と診断されながら、予定より早く約3週間で実戦復帰を果たした。そこからリーグ戦3試合は途中出場が続きながら、直近2試合はゴールという結果を残せている。10日のセレッソ大阪戦で先発復帰のチャンスは巡ってくるだろうか。トリコロールの背番号17のエンジンは全開だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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