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Jリーグ 2年前

なぜJ2で昇格組が健闘しているのか? ロアッソ熊本といわてグルージャ盛岡の対照的なアプローチ【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

岩手の起用法が生む好影響


【写真:Getty Images】



 パンデミックの影響による様々なプレッシャーや22チームで構成されるJ2の過酷な日程を考えれば、実際のところ秋田監督の採用するやり方は素晴らしいアプローチであり、もっと多くのチームが試していないことの方が不思議に感じられる。1年間の試合日程がわずか6ヶ月間に詰め込まれた異常な2020シーズンは特にそうだった。

 ほぼ毎試合起用されている2、3人の選手を除けば、秋田監督は基本的にメンバーを2つのチームに分けている場合もある。その2チームを交互に送り出すことで、リーグ戦や天皇杯、そして新型コロナウイルスの影響で中止され日程の変更された試合を乗り切ってきた。

 ミッドウィークの試合が連続する場合には特に賢いやり方となる。グルージャは5月18日から7月10日までの54日間で立て続けに14試合を組まれ、平均して4日ごとに1試合という日程だった。

 この手法は選手の体力を温存できるだけでなく、成長中の若いタレントに実戦での勝負の機会を定期的に与えることにも繋がる。今後数ヶ月間、数年間のチームとクラブにとってもちろん好影響をもたらすことだ。

 ロアッソとグルージャがシーズンのラスト4分の1をどう戦い抜くかはまだ分からないが、監督がそれぞれ異なるアプローチを採用する両チームは、シーズンが佳境を迎えていく中で引き続き注目に値する存在であることは間違いない。

(文:ショーン・キャロル)

【了】

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