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「1試合で全てが変わる」サッカー日本代表、ボランチ2人が模索する最良の関係性とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「1試合で全てが変わる」2人が見据えるものとは?


【写真:Getty Images】



 だからこそ、吉田が願うように遠藤と守田の早期復帰を今は祈るしかないわけだが、必ずW杯に間に合う保証はない。ゆえに、現有戦力で乗り切れる目処をカナダ戦でつけること。そこに集中しつつ、結果を求めていくことが今回の最重要テーマとなってくる。

 仮に柴崎・田中碧コンビが攻守両面のいいバランスや安定感を見出せれば、ドイツ代表戦の先発も見えてくるかもしれない。実際、4年前のロシアW杯直前のパラグアイ代表戦でも、控えだった柴崎が先発で目覚ましいパフォーマンスを披露。長谷部誠のパートナー役を射止め、本番につなげたという過去がある。

「あの時はその前まで結果も内容もついてこない中、パラグアイ戦でメンバーが変わって、出た選手が結果を残して本大会にのぞんだ経緯がある。でも今は違って、スタートで出ている選手たちが非常にいいプレーをしてますし、それにプラスして、ベンチで見ている選手たちがチームの総合力を高めるようなプレーができればいい。状況は違います」と本人は自身の立ち位置を冷静に客観視した。

 とはいえ、1つのチャンスを契機に序列を激変させることはサッカーの世界では往々にしてある。昨年10月の最終予選・オーストラリア代表戦で、一気に定位置をつかんだ田中碧は「一瞬のチャンス」の重要性を誰よりも熟知する存在。今回も虎視眈々とレギュラーを狙っていくに違いない。

「自分がいいパフォーマンスをすれば、大会を通して出れる時間が増えるだろうし、すべての試合がつながっていると思う。自分もオーストラリアで点を取ったから最終予選に出れたし、それは明日の試合も同じ。1試合で全てが変わる。深く考えず、自分の結果を出せるようにしていければいい」と目の前のゲームに全力を注ぐ決意を固めている。

 2人のボランチがカナダ代表を凌駕し、周囲の不安を一掃してくれるか否か。鎌田や板倉が入った形が見られるのか。中盤を巡る複数の課題をカナダ代表戦で解決すべく、選手たちには地力を見せてほしいものである。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

【了】

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