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長友佑都に起きた心境の変化とは? サッカー日本代表DFの4年間に訪れた2つの転機【コラム】

35歳で抱く新たな野心


【写真:Getty Images】



 そして、中国戦から4日後の9月11日。日本の主要メディアが、長友のFC東京加入をいっせいに報じた。一夜明けた12日。自身の35回目の誕生日に2010年夏まで所属し、戦いの場をヨーロッパへ求めてからも常に深い愛着心を抱いてきた古巣への復帰が決まった。

「心から愛するこのクラブに帰って来られて感動しています。心が震えるとはこういうことなのかと感じていますし、同時に11年前の思いも蘇ってくる。若いときも野心がありましたけど、いまの方がさらに野心というか、あふれんばかりの情熱が沸き上がってきています」

 FC東京を旅立つ前と異なっていたのが背番号だ。日本代表でもトレードマークとしてきた「5」を、たっての希望で「50」にした。理由は翌年に待つカタールワールドカップにあった。

「僕の愛する『5』に『0』は原点に戻るという意味で。原点回帰ですね。当時は野心にあふれていて、絶対に成り上がってやると思っていた。そのときの強い気持ちに戻るということ。まだ世界一のサイドバックになっていないし、有言実行でも何でもない。FC東京でいいパフォーマンスをして、代表でも来年のワールドカップで最高の活躍をすれば、まだまだ目標に届くと思っているので」

 代表チームの世界一を決める4年に一度の大舞台を、目標のなかで常に最上位に位置づけてきた。出場すれば日本人のフィールドプレーヤーでは初めてとなる、4大会連続のワールドカップとなるカタールワールドカップへ。胸中に抱く思いを問われる度に、長友は言葉に窮してきた。

「本当に語彙力がなくて、自分の思いを表す言葉が見つからないんですね。そのくらいワールドカップへの思いは特別で、本当にサッカー人生を懸けていきたいと思っているので」

 2度目のブラジル大会から3度目のロシア大会を目指していた過程で、30歳の節目を迎えた。年齢の十の位が変わる前後から、代表で後に続く選手たちに対する考え方も変化を遂げている。

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