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Jリーグ 1年前

異色のスペイン人GKコーチ、浦和レッズでの1年は「お前大丈夫か?」から始まった【前編】

シリーズ:コラム text by 沖永雄一郎 photo by Getty Images

「2年間ケンカしまくって、彼を困らせ続けた」


【写真:Getty Images】



 まず興味深かったのが、三者三様のジョアンとの向き合い方だ。それは各選手の性格のみならず、出会ったタイミングとキャリアが表れていた。

 3人の中で最初に指導を受けた林は「素直に受け入れたわけではなく、2年間ケンカしまくって、僕が納得するまで彼を困らせ続けた」と語った。ジョアンがFC東京のGKコーチとして働いたのは2017年からの2シーズン。奇しくも同じタイミングで、清水と鳥栖での活躍を経て林はFC東京に加入。当時30歳でキャリアのピークを迎えようとしていた。

「僕が納得するためには、うまくなるという確証が必要で、それがあって初めて受け入れられるものだった。いままでの財産、資産を全部捨てるようなものだったし、僕自身のGK論もありました」

 西川周作は、今年で36歳。いつしか日本代表の常連ではなくなり、昨季は1年目の鈴木彩艶に何度かスタメンの座を譲った。傍から見ればキャリアは下り坂で、西川自身も成長に壁を感じていた。事前に林から情報を得ていたこともあり、すべてをオープンに受け入れた。

「今までのやり方をリセットしてくれと言われたけど、僕はもっとうまくなりたかったし、日本代表に戻りたかった。その言葉を信じてリセットしました。その結果、プレーの幅が広がったし、この年齢でスキルアップできた」

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