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Jリーグ 1年前

サッカー日本代表には西川周作が選ばれるべきだった。スーパーセーブよりも大事なこととは【後編】

シリーズ:コラム text by 沖永雄一郎 photo by Getty Images

「これは3冊目で~」「いまのじゃ意味わかんない」


【写真:Getty Images】



 ただ、イベント終了後に参加者(GKコーチ)が「ゴールは存在しない、という話は衝撃だった」と話してくれたので、これはこれで良かった。ジョアンの回答の中に「これは3冊目で~」という話しもあったので、さらに深堀してくれるのを待ちたい。しかしこれは、もう一度シンプルに質問しなおすべきだろうか。

「いまのじゃ意味わかんないと思うので、僕が言ったほうがいいですよね」

 そう思っていたところに、林から助けが入る。素晴らしいアシスト。

「ぼくは最初に、失点をゼロにするのは不可能だけど、サッカーは確率なので確率を下げることはいくらでもできると言われました」

「相手がシュートを打つときに、ガラ空きのゴールに対して端の端には打たない。確実にゴールに入る打ち方をするし、鋭いボールに合わせる選手が足を振るかというと、確実に当てにくるし端は狙わない。上にふかすよりはゴロに抑えようとするから、そうするとボールが来るところはだいたい決まってくる。そこをGKが抑えれば確率は下がるよねということでした」

「質問にあったクロスのポジショニングで言えば、確率の低いスーパーヘッドや四つ角を抑えるために構えるのはナンセンスなんだと。『ゴールを守るな』と言われると何を言っているんだ?と思うでしょうけど、それにフォーカスするのがそれだけ重要だということです。これは絶対伝わってないだろうなと思ったので割って入りました(笑)」

 さすがの言語化能力というべきか。林自身、ジョアンの理論を日本語で言語化するのに2年かかったというが、この日はジョアンの“通訳”としてはっきりと説明してくれた。

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