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Jリーグ 1年前

京都サンガ曺貴裁監督の組織論「役職があれば言葉に重みが乗る」「こいつはものになる」と思った瞬間【育成主義2】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

自称「何もできないキャプテン」の成長


【写真:Getty Images】



 松田本人は「人前でしゃべるのも苦手な、何もできないキャプテンでした」と自身のキャラクターを振り返ったことがある。それでも指揮官は「目に見えない部分がすごく成長した」と目を細め、湘南時代から自身のサッカーを熟知している松田へ、期待を込めて新たな役割を託した。

「もともと自分に向き合って、真面目にサッカーをやり続けられる選手。なので、グランドマネージャーというちょっと引いた目線からチームを見たときに、自分はどうすればいいのか、というイメージに繋げていってほしい。違う立場でもっと、もっと成長してほしいと思っています」

 昨シーズンにJ2のファジアーノ岡山から加入した井上は、終盤戦になってセンターバックに定着。初体験のJ1で28試合に出場し、プレー時間も最終的には2000分を超えた。

「安定感があって、カバーリングも相手を潰すプレーも両方できるのは非常に大きい」

 試合を重ねるごとに成長してきた井上を評価した曺監督は、一方で鹿児島実業時代の井上が2014年に、当時監督を務めていた湘南の練習に参加していた件を「まったく印象がない」と苦笑する。

「僕に見る目がなかったのか、本当に覚えていないんですよ。当時は練習参加で大勢来ていて、大学生たちに会うと『実は高校生のときに湘南の練習に行っていたんですよ』とよく言われるんです。そこで『ああ、いたよね』と返してもいいんだけど、嘘をつくのも嫌なので、そこは正直に言うようにしています。本当に失礼なんだけど、黎生人にも『ゴメン、覚えていない』と」

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