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【ニューカッスルの快進撃エピソード3】大型補強、守備の整備、そして覚醒。こうして生まれ変わった

シリーズ:ニューカッスルの快進撃 text by WASSY photo by Getty Images

アルミロンが得点を量産する理由



 もともとスピードと左足の精度には自信を持っている選手だったが、2019年にチームに加わって以降、得点に絡む印象はそこまでなかった。今季はすでに二桁得点に到達しており、過去4シーズンの合計得点数「9」を上回っている。

 突如彼がゴールを量産し始めた理由の1つに、ブルーノ・ギマランイスとキーラン・トリッピアーの存在がある。彼らはどちらも長短のパス精度に優れており、アルミロンの積極的なランニングにピタリと合わせてボールが供給できる。特にギマランイスとのコンビネーションは良く、互いの理解度が高いため簡単に見えるワンツーでも一瞬で得点チャンスを生み出してしまう。

 また前述の通り、チーム全体としてピッチ前方で奪う場面が増え、アルミロンがスピードに乗って良い形でボールを受けるシーンが多くなった。その結果プレーの選択肢が広がり、対策されがちだった左足のシュートが、これまでよりブロックされにくくなっている。

 得点を獲るごとに自信も深まっている様子で、今季決めた得点の多くがスーパーゴールと、まさに波に乗っている状態だ。クラブレコードの新戦力イサクや、エースFWカラム・ウィルソンが度々負傷により穴を開けるなか、彼らの不在を感じさせないほどの活躍をアルミロンが見せている。

負けないことはもちろん大事だが、ニューカッスルがさらに上を目指していく上では勝ち切るゲームを増やしていく必要があるだろう。

 序盤に引き分けでポイントを稼ぎ、10月以降はアルミロンの得点量産もあって連勝を重ねたが、年明け以降はなかなか勝ちきれない試合が増えている。相手も強固なブロックを敷いてくることが多く、引いた相手をどのように崩すかはチームの新たな課題だ。

 ウィルソンもW杯終了後は本調子ではなく、彼のバックアップを務めていたクリス・ウッドも1月にノッティンガム・フォレストへローン移籍してしまった。アルミロンが本調子でない場合に得点の匂いがないのは懸念材料で、イサクやサン・マクシマンといった前半戦を離脱していた選手たちが、どれだけコンディションを上げてこれるかが鍵となるだろう。

 11季ぶりの欧州カップ戦出場も夢ではないが、あくまでクラブが設定する目標はトップ10。2月26日のカラバオカップ決勝でマンチェスター・ユナイテッドに勝利し、1955年以来の国内タイトルを獲得することが、ひとまず今季最大のターゲットとなりそうだ。

(文:WASSY)

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【了】

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