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Jリーグ 11か月前

J3が映し出す「世界との差を縮めるために必要なこと」。Jリーグ30周年の現在地【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

「日本が世界との差を縮める上で必要なこと」



 宮坂も3部リーグでの試合がこれほどまでに感動的な雰囲気に包まれることに感激していた。

「J1やJ2でプレーしてきましたが、そういうリーグにはお客さんが多く来ますが、それをJ3で体験できることに、僕自身も選手として大きな喜びを感じています。感謝すると同時に、毎週、お客さんが入った中で試合をしたいというのが本心です」

 長野と松本のようなライバル関係は、もちろん例外的な状況を生むが、それでもJリーグが最初の30年を築き上げるための可能性を示すものであり、シュタルフ監督はそれを強く意識している。

「地域との一体感も含め、フットボールが日常生活の一部になることが、日本が世界との差を縮める上で今後必要になってくるところだと思います」

「僕たちは長野の人たちのために存在しているので、長野の人たちがしっかりと喜んで、個々でもらったエネルギーを各々の生活に持ち帰って、また来週ここに集まって、仲間たちと騒ぐ」

「信州ダービーはそのサイクルを表現できていると思います。欲を言えば毎試合、こういう熱狂に溢れたスタジアムが日本中で見られるようになってほしいと思います。そのポテンシャルがあることを長野で証明できたと思いますし、他のクラブも同じですが、もっと地域と一体になって、地域の人たちの声に耳を傾けて、喜んでもらえるような取り組みは続けていきたいなと思います」

 首都圏で行われる大規模な試合も楽しいが、サッカーが本当に根付くのは全国各地の町や都市である。最初の30年間は、センセーショナルな成長を遂げ、賞賛に値するものだった。これからの数十年間、Jリーグが日本サッカーを成長させ続けるためには、その根源的な絆に焦点を当て続けることが必要である。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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