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明治安田生命J1リーグ第16節が先週末に各地で行われた。シーズンも折り返し地点が間近に迫る中、なかなか調子の上がらないチームがある。“異端のアナリスト”庄司悟氏はデータをもとにそれらのチームを分類し、最新の知見と比較して実情をあぶりだす。(文:庄司悟)
いまいち成績の上がらない7チーム
J1第16節で注目していたヴィッセル神戸対川崎フロンターレの一戦は残念ながら中止となってしまった。同節終了時点の十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率、図1)を見てもらえればわかるように、絶好調の「非優等生=左下」と不調の「優等生=右上」という対極の対決だったのだ。
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今回は、いまいち成績が上がらないチームを2つのグループに色分けした。右上の川崎、アルビレックス新潟、ガンバ大阪は「ボールを持っているのに勝てない」グループ、左下の京都サンガF.C.、湘南ベルマーレ、柏レイソル、横浜FCは「ボールを持っていないときに試合をコントロールできない」グループと分けることが可能だ。
FIFAのテクニカルスタディグループ(TSG)は順次、2022年カタール・ワールドカップの分析レポートを発表している。その一部にボール支配率があった。「片方のチームのボール支配率が33%以下だった試合は19試合あり、うち33%以下だったチームの勝ち・引き分けは14試合あった。また、片方のチームのボール支配率が57%以上だった試合は14試合あり、うち57%以上だったチームの勝ち・引き分けは7試合あった」と報告されている。
図2は準決勝のボール支配率を表したもので、アルゼンチン、フランスも、ともに34%で勝ち上がったことは記憶に新しい。また、FIFAのアドバイザーを務めるアーセン・ヴェンゲルは、「ボールを支配しているのに勝てないチームは、いくつかのポジションで効率が悪いことがわかった。相手の得点を阻止するためには、ボールを持っていないときに試合をコントロールできなければならない」とコメントしている。
ヴェンゲルの言葉を借りれば、右上の不振3チームはそもそも「世界の傾向」とは真逆に位置し、かつポジションの効率が悪い。そして左下の不振4チームは試合をコントロールできていない。さあ、不振にあえぐチームはどのようにして修正をかけていくのだろうか。
(文:庄司悟)
庄司悟(しょうじ・さとる)
1952年1月20日生まれ、東京都出身。1974年の西ドイツ・ワールドカップを現地で観戦し1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのデータ配信会社『IMPIRE』(現『Sportec Solutions』。ブンデスリーガの公式データ、VARを担当)と提携し、ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSをもとに分析活動を開始。著書に『サッカーは「システム」では勝てない データがもたらす新戦略時代』(ベスト新書)、『現代フットボールの主旋律 ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す』(カンゼン)。
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