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日本代表 11か月前

久保建英と三笘薫の以心伝心。サッカー日本代表ですれ違い続けた2人の針が重なった瞬間【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

すれ違う両者を引き合わせたエルサルバドル戦


【写真:NN】



 例えば三笘が後半からスーパーサブとして投入され、大活躍を演じたカタールワールドカップ。久保はグループリーグのドイツ、スペイン両代表戦で左ウイングの先発を射止めるも、ともにハーフタイムで交代。クロアチア代表との決勝トーナメント1回戦は体調不良で欠場している。

 森保一監督が続投し、新たなスタートを切った今年の3月シリーズ。三笘が[4-2-3-1]の左サイドハーフでともに先発した一方で、検査でコロナの陰性が確認されなかった久保はウルグアイ代表戦を欠場。コロンビア代表戦で途中出場したときには、三笘はベンチへ下がった後だった。

 エルサルバドル戦で約1年ぶりに実現した、通算5度目の三笘との共演。センターフォワードに上田、インサイドハーフには旗手と堂安が名を連ねた先発の攻撃陣を、久保は「決して相手へのリスペクトを欠いているわけではないですけど」と断りを入れたうえでこう振り返っている。

「このレベル(の相手)だったら多分、ぜいたくすぎるラインナップじゃないかな、と。明らかに僕たちの方がプレーの質も強度も高かったし、そのなかで三笘選手も縦だけではなくて中にも攻めていっていました。その意味でも、今日はやりたい放題だったのかなと思っています」

 例えば17分。右サイドからゴール前へ侵入してきた久保の強烈なシュートが、ゴール左ポストをわずかにかすめた。この場面をさかのぼっていくと、中へ絞った三笘が時間を作り、その間に旗手が左サイドをオーバーラップ。三笘のパスを受けて放ったグラウンダーのクロスに行き着く。

 前半終了間際の44分にはキーパー大迫敬介のロングフィードを、相手ディフェンダーを背負いながら上田が胸で収め、強さと上手さを兼ね備えたポストプレーから左へ展開。ボールを受けた三笘が左サイドをドリブルで突破し、反対側の右サイドを久保が駆け上がっていくチャンスが生まれた。

 対峙した相手ディフェンダーは2人。最終的に三笘はカットインを選択し、ペナルティーエリアのやや外側から強烈なシュートを見舞う。相手キーパーが必死に防ぐもゴールライン上で弾み、体勢を立て直したキーパーが反応しかけた矢先に、詰めていた堂安が押し込んで4点目をもぎ取った。

 カタールワールドカップ以来となる代表でのゴールを、堂安は「ごめん、というしかないですね」と苦笑いしながら振り返る。実質的には三笘のゴールだと言いたかったのだろう。それでも三笘は「彼があそこにいたので決まりました」と、フォローしてきた堂安に感謝している。

「シチュエーション的に真ん中に入ってボールを受けるプレーや、そこからのスルーパスもありました。ブライトンでもやっているプレーや役割を、代表でもやらなければいけないと思っています」

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