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日本代表 11か月前

久保建英と三笘薫の以心伝心。サッカー日本代表ですれ違い続けた2人の針が重なった瞬間【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

あうんの呼吸を感じさせる両者



「三笘選手も『誰か味方がいれば』という感覚で、おそらく中を見ないで軽く蹴っていた。そのタッチを見て、ボールがあそこにこぼれてくる予感がしました」

 当時からあうんの呼吸を共鳴させながら、三笘と久保は森保ジャパンで絶対的な居場所を築けなかった。ガーナ戦が行われたときの所属クラブ欄には、三笘がベルギーのユニオン・サンジロワーズと、久保がスペインのマジョルカと、ともに武者修行中の期限付き移籍先が記されていた。

 いまでこそ左ウイングに君臨する三笘だが、アジア最終予選を含めて、このポジションのファーストチョイスは南野拓実だった。久保に至ってはポジションがなかなか定まらない。本人が強く望んでいた右ウイングのレギュラーは、縦への群を抜くスピードを誇る伊東純也だった。

 代表デビューも2019年6月だった久保に対して、三笘は東京五輪後の2021年11月。必然的に2人が国際Aマッチで共演し、ピッチ上で同じ時間を共有したケースも限られてくる。

 最初は昨年3月のベトナム代表とのワールドカップ・アジア最終予選だった。日本がカタール大会出場を決めた直後の最終戦で、三笘が左、久保が右のウイングで先発。後半開始からシステムが[4-2-3-1]に変わったなかで久保がトップ下に回り、計61分間にわたって共演した。

 次は同6月2日のパラグアイ代表との国際親善試合。三笘が[4-3-3]の左ウイングで先発し、後半にシステムが[4-2-3-1]に変わり71分に久保が右サイドハーフで途中出場。左サイドハーフに回った三笘が82分にベンチへ下がるまで11分間にわたって共演した。

 3度目は久保が初ゴールを決めたガーナ戦。三笘が[4-3-3]の左ウイングで、久保が右インサイドハーフで先発し、三笘が南野との交代でベンチへ下がった80分まで共演した。

 ガーナ戦の4日後に行われたチュニジア代表戦。ともにベンチスタートだった2人は71分から三笘が[4-2-3-1]の左サイドハーフで、久保がトップ下で19分間にわたって共演した。

 三笘がブライトンへ復帰し、久保が保有権を持っていたレアル・マドリードからレアル・ソシエダへ完全移籍した昨夏以降は、今度はすれ違いが目立つようになった。

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