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日本代表 11か月前

鎌田大地は「新しい自分を見つけられた」。サッカー日本代表、ペルー戦はビッグクラブ移籍のプロローグ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

チームとして良さが出たゴール

「大地くんがうまく処理してくれて、そこからゴールに繋がった。あれこそが僕らがやろうとしている攻撃。相手が前から来ているからといって臆さずにビルドアップして、いいポジションを取って、みんなで関係を持ちながら連携していくなかですごくいい崩しに、すごくいいゴールになった。前線の選手のスペシャリティーぶりが本当にすごい。そこに感謝しかないですね」

 出し手の菅原がミスだと自らを責めかけた難しいパスを、鎌田は前へ進みながら右足のアウトサイドで優しくタッチ。パスのスピードを巧みに殺し、なおかつボールを自身の前方に小さく弾ませて再び間合いに収めた。神業にも映るトラップを軽やかに、いとも簡単に成功させただけではない。

 さらにひと呼吸置いて、鎌田は左サイドをフリーで駆け上がっていた左ウイングの三笘薫へパスを供給する。ボールの軌道は三笘をさらに前方へ走らせる、絶妙のコースを描いていた。

 そして、右足だけを駆使した独特のタッチによるドリブルから、三笘はペナルティーエリア内に侵入した直後に右側へカットイン。次の瞬間、右足から放たれたシュートは相手ディフェンダーに当たって軌道を変え、さらに相手キーパーの逆を突いてゴールネットを揺らした。

 中村のゴールキックから、三笘のゴールが決まるまでわずか20秒あまり。その間、ペルーの選手に一度もボールを触らせない完璧な流れのなかで、鎌田の非凡さが異彩を放った。

 もっとも、鎌田本人は淡々としていた。試合後の取材エリア。鎌田は「いいトラップができたと思いますけど」と自身のプレーに短く言及しただけで、味方の選手たちに感謝している。

「その前に由勢と純也君とで、うまく2対2を崩せたところも大きかった。あとは薫の個人的なクオリティーの部分もあったし、チームとしてよったと思っています」

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