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日本代表 11か月前

鎌田大地は「新しい自分を見つけられた」。サッカー日本代表、ペルー戦はビッグクラブ移籍のプロローグ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

それでも厳しい自己評価を下した理由とは?

 例えば21分。敵陣へ背を向けた体勢から縦パスをトラップした鎌田は、素早く反転して最初のチェックをかわし、さらに右足から左足と細かいタッチを繰り出して次のチェックもかわす。

 スタンドがどよめきかけた直後に、右足アウトサイドでボールをヒット。これが左サイドを駆け上がっていた三笘への絶妙なパスへと変わり、相手選手に頭でクリアされたものの、オーバーラップから三笘のクロスに右足を合わせた菅原のシュートへと続く流れを作った。

 63分には相手選手とFW前田大然がもつれたこぼれ球に素早く反応。左足での絶妙のワンタッチパスで左サイドの三笘をフリーで走らせ、最終的には伊東が決めたゴールをお膳立てした。

 2つのゴールに絡んだ鎌田は71分にお役御免となり、久保建英との交代でベンチへ下がった。もっとも、自らのプレーへの評価を問われると「普通という感じです」と素っ気なく振り返った。

「ミスが多かった。自チームでは普段、あんなにミスをすることもないので」

 厳しい自己評価は、最終的に4-1のスコアでペルーに快勝し、2戦合計10発のゴールラッシュで6月リーズを連勝で締めた第2次森保ジャパンに感じる手応えと表裏一体を成す。

 日本代表は3月シリーズでウルグアイと1-1で引き分け、コロンビアに1-2で逆転負けを喫した。鎌田は「この間よりは、チームとしてすごくよくなった」と総括し、さらにこう続けた。

「個人的には今回のシステムが、いまの代表メンバーに一番合っていると思う。特にウイングのポジションに一人で、個の力で打開できる選手がたくさんいる。彼らを使いながら中盤の選手も生かされる、という形は誰が出てもできている。チームとしてよければ個人としてももっとやりやすくなるというか、自分を含めて、中盤の選手たちのプレーの幅というものも広がっていくので」

 ウイングは左で三笘が2戦とも先発し、右ではエルサルバドル戦で先発した久保が1ゴール2アシストをマーク。ペルー戦では伊東が自慢のスピードと正確なクロスで違いを見せつけた。

 さらにインサイドハーフでは初戦で旗手と堂安が先発。ペルー戦では後半から守田英正が旗手に代わり、久保も右インサイドハーフでプレーできる。ヨーロッパの舞台で結果を残した選手たちが、自信あふれるプレーを代表に還元しているからこそ、鎌田も決して現在地に満足しない。

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