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日本代表 11か月前

鎌田大地は「新しい自分を見つけられた」。サッカー日本代表、ペルー戦はビッグクラブ移籍のプロローグ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

「日本が強豪国になっていくためには…」

 トップ下でのプレーを望んだ中田氏はローマのレジェンド、フランチェスコ・トッティの後塵を拝し続けた。ドルトムントでセンセーショナルな活躍を演じ香川真司は、2012年夏に加入したマンチェスター・ユナイテッドで期待された輝きを放てなかった。

 2014年1月には本田圭佑がミランに加入。期待とともに「10番」を背負ったが、8試合の出場に終わった2016/17シーズンをもって退団。その後も南野拓実がリバプールへ、冨安健洋がアーセナルへ加入したが、前者はレギュラーをつかめないまま昨夏にモナコへ移籍。カタール大会前から故障に悩まされていた後者は、怪我のために後半戦のほとんどで戦線離脱を余儀なくされている。

 こうした状況のなかで、鎌田は語弊を恐れずに「難しいシーズンを――」と言及した。歴代の名選手が直面してきたビッグクラブの壁を乗り越えた先に、新たな可能性が開けると信じているからだ。

 PK戦の末にクロアチア代表に屈し、ベスト16でカタール大会を去った直後から、鎌田の視線はアメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される2026年の次回ワールドカップへ向けられていた。個人的なキャリアと、日本代表が進んでいく道とを重ね合わせながらこう語っていた。

「日本が強豪国になっていくためには、ビッグクラブでプレーする選手が数人は必要だと思う。ビッグクラブでプレーしている選手は余裕が違うというか、ピッチ上に立っているだけで空気感が違う。絶対的な自信を漂わせているというか、言葉ではなかなか言い表せないようなものも感じさせる。自分はそういう選手になれるように頑張っていきたい」

 フランクフルトから何度か提示された契約延長オファーに断りを入れ、7月1日をもってフリートランスファーになる状況を選んだのも、ビッグクラブ移籍を見すえた決断だったといっていい。

 そして、インサイドハーフとして「8番」のタスクを担い、随所で違いを見せつけたペルー戦はある意味でプロローグだったのだろう。8月に27歳になる鎌田は今後の目標として「成長」の二文字を貪欲に掲げ、つかの間のオフで英気を養いながら、ミランとの正式契約を待っている。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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