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Jリーグ 6か月前

「賢くならないと」なぜ清水エスパルスは昇格に失敗? 繰り返した失敗と自ら招いた現実「キツイことを言いますけど」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「シーズン通して何回もあったのに…」繰り返された失敗



 東京Vは最前線の染野唯月を目がけて次々とロングボールを蹴り出すようになり、清水守備陣は懸命に跳ね返していたが、93分に途中出場の神谷優太が相手3人に囲まれてボールを奪われた。次の瞬間、東京Vは中原輝へとつなぎ、鈴木義宜の背後を抜け出した染野に絶妙のスルーパスを供給。ここで清水の高橋祐治がスライディングタックルに行き、エリア内で染野を倒してしまったのだ。

「中に人もいなかったし、打たせても大丈夫な角度だった。もっといい対応ができたと思う」と高橋本人は悔やんだが、池内明彦主審はPKを選択。染野が同点弾を決めることに成功した。

 そのままタイムアップの笛。同点に追いついた東京Vが16年ぶりのJ1復帰を決め、歓喜を爆発させる傍らで、清水は手にしかけていたJ1切符を最後の最後で逃した。ベンチにいた乾は悔しさをにじませ、「とにかくヴェルディさんの方がJ1に上がるにふさわしかった」と憮然とした表情で言うしかなかった。

「これだけ勝負弱いとね…。ここで勝てばっていう試合はシーズン通して何回もあったのに勝ち切れなかった。今回も1-0で終われれば上がれましたけど、ああいうミスをしてしまう。自分たちがJ2のチームということだと思います。

 キツイことを言いますけど、祐治もまず滑る必要はなかった。前ももっと点を取るチャンスがあったんで、自分たちも悪いですけど、無駄なファウルをしてしまうところは反省しないといけない。個々がもうちょっと賢くならないと、レベルアップしないと本当にJ1に上がれるチームにはなれない」

 世界基準を知る35歳のベテランは、決定的なミスを犯す形になった高橋含め、1人1人の勝負弱さや力不足が招いた結果だという見解を示していた。

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