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采配に疑問…。サッカー日本代表の敗因とは? 「苦手な戦い」にベンチは何もできず【西部の目/アジアカップ2023】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

得手不得手がある…。大会を通じて露呈した課題


 64分にもロングパス一発でアズムンが抜け出し、板倉をかわしてシュートを決めるが際どくオフサイド。ロングボールが明らかに脅威になっていて、何かしらの手を打たなければならない状況だった。

 67分に久保に代えて南野、前田大然に代えて三笘が登場するが、悪い流れを変えるには至らず。ロングボールの出し手にプレッシャーがかからず、かえって状況は悪化していった。ボールが空中にある、跳ねている展開はパワーのあるイラン代表に有利。その流れを変えられないまま、アディショナルタイムにロングボールの競り落としからPKを与えてしまう。セカンドボールは板倉が触れそうだったが、背後に冨安がいたので躊躇したのか2人の間にボールは落下。拾われたところを板倉がファウルしてPKとなり、これが決勝点となった。

 ロングボール対応が直接の敗因だが、ビルドアップ不全も流れを変えられなかった原因だろう。押し込んでしまえばロングボールの脅威は激減するが、中途半端にロングボールを蹴ってカットされ、ラインを上げられないまま蹴り返されるので、セカンドボールの回収も難しくなった。つまり主導権の取り合いで負けていて、劣勢がはっきりしていた以上、頼みの綱はベンチワークだったがそれもなかった。

 欧州の強豪に勝てるが、アジアで苦戦もするし敗れもする。格上の相手に勝ち、格下に負けるのがサッカーであり、力量差がないイラン代表に敗れるのは不思議ではない。はっきりしているのは日本代表には得手不得手があるということ。苦手な戦いに持ち込まれたときにどう対処するかという大きな課題が残された大会となった。

(文:西部謙司)

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【了】

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