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日本代表 2か月前

「正直、自分が誰よりも…」長友佑都はいかにしてサッカー日本代表復帰を掴んだのか。見えてきた大記録への思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

アジアカップは「覇気がなかった」



「正直、自分が誰よりも若いと思っている。実際にコンディションもいいし、走れているし、そういった面で20代のときのようなコンディションを感じている。年齢は37歳で、9月には38歳になるんですけど、本当にただの数字というか、誰よりも動けているからこそ、今回呼んでもらえたと思っている」

 熱さをほとばしらせる長友の姿を見ながら、本人をして「成り上がった」と言わしめるサクセスストーリーを支え続けた、前出の井上氏から授けられた金言を思い出さずにはいられなかった。

「自分の意思次第で道は変わる」

 第2次政権をスタートさせた昨年3月以来、森保一監督はベテランと呼ばれる選手を招集していない。長くキャプテンを務めた吉田麻也や長友、酒井宏樹、ゴールキーパーの川島永嗣と権田修一らに加えて、幾度となく待望論が沸き上がった昨シーズンのJ1得点王、大迫勇也も復帰を果たせていない。

 2026年のワールドカップ北中米大会をにらんだチーム作りの一環、と見られていたからこそ、長友の復帰はファン・サポーターやメディアを驚かせた。森保監督の決断には優勝候補筆頭として臨みながら、準々決勝でイラン代表に敗れた先のアジアカップが大きく影響していると見ていい。

 グループリーグでもイラク代表に屈しているアジアカップの戦いぶりは、元日本代表として大会を外から見ていた長友の目に「元気がないというか、すごく覇気がなかった」と映っていた。しかも、苦境に陥ったチームを盛り上げる、いわゆるムードメーカー役を担える選手もまた見当たらなかった。

 ワールドカップ・カタール大会を振り返れば、髪の毛を金髪から赤色へと変えながらイタリア語の感嘆詞である「ブラボー!」を連呼。当時の流行語にも昇華させた長友の熱量は、グループリーグで優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表を撃破した、世界を驚かせた快進撃を縁の下で支えていた。

 長友は自身の代表復帰を「チームのなかに何らかの問題があるから自分が呼ばれた、という認識はないんですけど……」と受け止めながらも、一方ではこんな思いも明かしている。

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