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Jリーグ 1か月前

「サコがいるとどうしても…」ヴィッセル神戸が見出した“大迫勇也依存”脱却のヒント。FC町田ゼルビア撃破の価値【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「僕らは普通だったら…」



「相手は徹底して角を取ってロングスローやFKでゴールを狙ってくる」と吉田監督も語ったが、いったんタッチラインを割れば、鈴木準弥と林幸多郎の両サイドバックが全てロングスローを投げ込んでくる。しかも前線で待ち構えているのは194cmの長身FWオ・セフンだ。これには守備陣もかなり苦しめられたに違いない。

「僕らは普通だったら相手の出方に合わせないですけど、ボールが外に出たら全部ロングスローになってしまうから、合わさざるを得なかった。でもそこでやらせなかったら、相手は前に人数をかけてくる分、カウンターが効いてくるのは分かっていた。今回は完全に上回れたのかなと思います」と武藤は町田対策を頭に叩き込みつつ、裏を突く形に持っていこうとしていたことを明かす。

 89分の決勝弾もスピーディーな攻めから左ウイングに上がった初瀬亮が取った左CKから生まれた。キックの名手・初瀬が蹴ったボールはファーで待ち構えていた武藤のところへ。彼は左足を豪快に振り抜き、2点目をゲットしたのだ。

「初瀬選手のボールの軌道を見て、最初は突っ込もうと思ったんですけど、流れてくるんじゃないかなと思って、本多(勇貴)選手を前に押し込んで、うまく潰れてくれたので、トラップを集中して相手のいないところに蹴り込んだ。そしたらとんでもないところに突き刺さった」と本人も驚き半分に語っていたが、非常に大きな仕事を果たしたのだ。

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