「智さんから…」。ゴールに繋がった指揮官からの指示
ベンチ入りした石井は、イメージを膨らませながら今シーズン初出場を待った。38分にセットプレーから失点し、4試合目にして初めてビハインドを背負う展開で迎えたハーフタイム。先発していた根本凌に代わって投入された石井が、まばゆい輝きを放ったのはわずか10分後の55分だった。
藤井智也とのワンツーで敵陣の右サイドを攻めあがった鈴木雄斗が、前線へ鋭いパスを供給する。マリノスのジェイソン・キニョーネスが処理を誤り、さらにマリノスのゴール前へとこぼれていったボールに素早く反応した平岡大陽が、体を捻りながら迷わずに右足を振り抜いた。
ゴール左を急襲したシュートに、マリノスの守護神・朴一圭も懸命にダイブ。必死に伸ばした右手で弾いた左ポスト付近へ、まるでボールがこぼれてくるのを予測していたかのように、フリーでポジションを取っていた石井が詰めてくる。左足のワンタッチで放たれた一撃が、無人のゴールへ突き刺さった。
試合を振り出しに戻し、それまでの劣勢もはね返すゴールへの思いを石井は周囲への感謝に変えた。
「智さんから『より前に、前にアクションし続けろ』という指示があったので、シュートを打つときに体が自然に前へ出ていった。(平岡)大陽くんがうまく抜け出して、ボールがこぼれるようなコースへシュートを打ったので、大陽くんやほかの選手たちに感謝したい。本当にいいところにボールがこぼれてきたので」
19歳の誕生日前日だった、昨年7月6日の浦和戦で決めたプロ初ゴールに続く一撃。左サイドハーフで途中出場したこのときは福田とのワンツーで抜け出し、さらに中央へ切り込んでゴール右を狙う練習通りの形だった。今回のゴールを「しれっと入った感じですね」と笑った石井は、さらにこう続けた。