「入れる方も中に入る方も…」受け手との感覚が一致した瞬間
55分には家長がボールを持つと内側を勢いよく駆け上がった。ボールを受け、鋭い切り返しで相手をかわすと、ゴール前でフリーになっている脇坂泰斗が視界に入る。ここで瞬時に速いボールを脇坂の足元に送ることを選択した。
「とにかく速いボールを出せば、ヤスくんなら止められると思いました」
脇坂のトラップは長くなったが、山田新が相手を背負いながら押し込んだ。おそらく山田がいなければ脇坂がシュートを打つこともできただろう。
73分には山本悠樹からリターンパスを受けると、ゴール前を確認してクロスを上げる。ここで選択したのは1点目とは違い、高めのボールだった。
「あの場面は新が入ってきているのが見えていたので、思い切っていれてみようと思って入れました。
昨季までならもう少しボールを握って崩してという形も多かったですけど、チャンスがあれば入れようと監督が言っています。入れる方も中に入る方も『来る』という感覚があるので、お互いがそういう意識を持ってやれているので点につながっていると思います」
結果として佐々木のクロスは山田の手前で相手にクリアされたが、ファーサイドの伊藤達哉が押し込んだ。
伊藤はこぼれ球を押し込む形のゴールは過去にそう多くなかったそうだが、「ここに来る」と感じたという。それは理論や経験より感覚だが、佐々木が違う選択をしていれば結果は変わっていたはずだ。
2点に絡む活躍で勝利に貢献した佐々木。2点目につながったクロスがプレー面での今季の変化ならば、メンタリティーの変化を見せたシーンもあった。
それは、試合が止まった際の行動だった。