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Jリーグ 2か月前

今は違う。「負けたくない。悔しかった」佐々木旭を駆り立てる仲間の存在。川崎フロンターレで変わろうとする背番号5【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「一応、副キャプテンなので」まだ満足できない。なぜなら…

 相手とユニフォームを引っ張り合うなど激しく競り合った家長がファウルを取られると、主審や副審に向かって怒りをあらわにした。

 大島僚太らがなだめるが、家長の怒りは収まらない。

 すると、佐々木はプロキャリア22年目年の先輩を突き飛ばすように押しのけ、審判との間に入った。

 そのシーンを振り返るように求められると、佐々木は昨季までの自身にはなかったような行動を思い出したのか、はたまた大先輩の顔が思い浮かんだのか、苦笑しながら説明した。

「あれ以上いったらイエローカードが出ると思って。一応、副キャプテンなので」

 昨季はキャプテンの脇坂や鬼木達前監督に怒られながら成長していた25歳は、すっかりチームの中心、副キャプテンの自覚と責任を持ってピッチに立っていた。

 佐々木は夜に生まれた。それなのに、名前には朝の太陽を意味する言葉を授かった。

 佐々木自身も命名の理由を親に聞いたことはない。ただ、漢字の意味からすれば、「のぼる」、「太陽」といった意味が込められていることは間違いないだろう。

 高井だけではない。同じサイドバックで日本代表を経験している三浦、昨季は日本人最多タイのゴールを決めた山田らにも負けられない。彼らより先に日本代表に選出されたいと願うのだから、成長を周囲から評価されようが満足していられない。

 そして、多摩川クラシコの勝利によって未消化試合を勝利すると仮定すると2位になることを知っても喜ぶような素振りを見せなかった。

「まだ始まったばかりなので、1試合ずつ。鬼木鹿島に負けないように」

 日本代表へ。かつての恩師越えへ。佐々木は上を見据え、まだまだ昇っていく。

(取材・文:菊地正典)

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【了】

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