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Jリーグ 9か月前

浦和レッズ、西川周作の632試合の軌跡。「ピッチに立つと…」不思議な力の源に感謝も、狙うは記録よりも大事なもの【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 photo by Getty Images

息つく間もないクロス攻撃。 「チャンスがあれば…」

 清水は後半頭から乾貴士、松崎快、北川航也を投入し活性化を図ると、51分には乾の強烈ミドルを西川がブロック。その直後の宇野禅斗のシュートも止めた。

 すると59分に待望の追加点が入る。右サイドの石原広教のクロスが相手ディフェンダーに当たり、そのこぼれ球に反応したマテウス・サヴィオが左足ボレーで射抜いた。

 終盤になると自陣からのビルドアップが引っかかりはじめ、攻勢を強めた清水の猛攻に遭う中で79分、コーナーキックから失点する。

 高木践のヘディングシュートを西川が一度は右手でセーブすると、ボールはクロスバーに当たり跳ね返る。そして、セーブした動きで反動が付いていた西川の左手にボールが当たり、不運にもゴールネットに吸い込まれてしまう。

「上手く反応したんですけど、あの形でゴールになって。でも頭の中では割り切ってベストを尽くしたというところではできたかなと思っています」

 その後も息つく間もないほどのクロス攻撃、セットプレーを浴び続ける中で、西川は流れを切りゲームコントロールをすべく、キャッチングするチャンスを窺っていた。

「もどかしい感じはありました。でも絶対にチャンスがあればどこかで出ようと。自分のマインドとしては攻撃的にという部分を忘れずに、クロスを上げられる時には中の状況をしっかり見ることを意識しました」と、百戦錬磨のベテランは落ち着き払ったプレーを見せた。

 そして審判の試合終了を告げるホイッスルがピッチに鳴り響くと、背番号1は、微笑みながら一度、両手を広げると、右手でガッツポーズし勝利の味をかみ締めた。

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