「ちょうどいいタスクじゃないか」若手抜擢の理由とは…
監督就任1年目は、ベースとなる戦い方を成熟させるために、主力を固定する監督は少なくない。長谷部監督も高井幸大や脇坂、三浦颯太など、軸となる選手は使い続けた一方で、ボランチやウイング、センターフォワードなどは柔軟なメンバー選考を見せている。
スタメン落ちやベンチ外となる選手もいる。「勝負の世界」という現実も見せながら、そこで気持ちを切らさないように、長谷部監督は最大限の配慮を見せる。
「気持ちが削がれないように考えているけれど、競争の世界だから、それはどうしても避けられない。でもその中で、『よし、やってやるぞ』っていう姿勢で入ってくる選手がいると、やっぱりいいチームになっていくと思っている」
根底には「選手が躍動するのが大事」という考えがある。選手が躍動できるように、どのような戦略を打ち出すか。普段の練習で引き出しを作りながら、一番いいものを試合にぶつける。大関と神田の起用も奇襲ではなく、勝つために選手の特徴をどう引き出すかを考えた末に出した結論だった。
なかなか出場機会に恵まれなかった2人に気を配っていたからこそ、大一番で彼らの特徴を活かせることにも気づいていた。
「彼らの守備力というのは高いです。後ろの選手に(ボールを)取らせるという意味で守備力が高い」
長谷部監督は「ちょうどいいタスクじゃないかと思い、本人たちに話した」と言う。120分を戦った準々決勝から中2日という過酷なスケジュールで、体力的にフレッシュだった2人がチームの勝利に貢献できる能力を持っていると判断した。
連戦を戦い抜くための土台として、フィジカルマネジメントも徹底されている。