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Jリーグ 7か月前

「その目標を達成できないかもよって」瀬川祐輔は自分に問いかけた。川崎フロンターレで崖っぷちから這い上がるために【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

いつもと変わらない瀬川祐輔の姿がそこにはある。「僕はとにかく相手にとって怖いことをする」

 サッカーはボールをゴールに決めた数を競うスポーツで、必然的にボールに注目が集まる。ただ、瀬川の良さはボールから離れているときに出ると言ってもいい。

 ボールを持ったときだけでなく、ボールがないところで何ができるか。「僕はあれが長所なので。そこが自分の価値というか、自分の存在意義を示す1つのプレースタイル」と言うように、裏へ抜け出し、相手にとって怖い動きを繰り返す。

「僕はとにかく相手にとって怖いことをするのが特徴です。あとは味方を助ける」――その意識が、試合終盤の流れを変えるプレーにつながった。

 80分にピッチに立った瀬川は絶え間なく動いた。セレッソの左ウイングバックを務める髙橋仁胡の死角や、左センターバックの西尾隆矢の背後を取ったかと思えば、ボランチと最終ラインの間に顔を出す。それを何度も何度も繰り返した先に、くだんのアシストがあった。

「いつも通りです。そんな意識はしていない。自分のプレーをやったって感じ」

 この日の等々力には、いつもと同じ瀬川の姿があった。

 長いトンネルの先にようやく光が差した。それでも「スタートラインに立てたのか、その手前なのか分かんない」と言うのは、まだまだこれからという自分への戒めなのかもしれない。それでも一歩踏み出せたことには違いない。信頼を1つひとつ積み重ねて道を拓こうとする姿は、確実にチームの力になっている。

(取材・文:加藤健一)

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【了】

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