古巣への思いを抱くも「ピッチに入ってしまえば…」
この状況はアタッキングフットボールでJ1を制したチームの一員である小池には信じがたいものがあっただろうが、今は鹿島の一員として自分たちにフォーカスするしかない。JFLのレノファ山口FCから成り上がってきた男はつねにいい意味で割り切りながら、プロ人生を突き進んでいるのだ。
「もちろん(マリノス)にはいろんな思いがあります。経験してきたもの、在籍した時間…、ホントにいろいろあるんで。ただ、ピッチに入ってしまえば関係ない。今はまだシーズンの途中なので、まずは自分たちにつねに矢印を向けるってことが大事だと思います。
負けた悔しさはありますけど、それはどのチームに対しても変わらない。でもまだまだ自分たちが成長できると考えればワクワクする。ここで頭を悩ませたり、下を向いたりする必要はないんです。またアクションを起こして、次のガンバ(大阪)戦に向かっていくだけですね」
試合後のミックスゾーンで毅然と前を向いた小池。そこに元同僚の相手GK飯倉大樹が通りかかり、「彼はとてもいい選手ですよ」と言って、彼の頭を叩いた。その時だけは小池から笑みがこぼれたが、試合が終われば、仲間であることには変わりない。「マリノスにはここから浮上してほしい」という思いも少なからず抱いたのではないか。
7連敗に歯止めをかけた宿敵の気迫あふれるプレーに刺激を受け、鹿島の背番号25は今一度、立ち上がる覚悟だ。常勝軍団復活を目指すチームに連敗は許されない。万能性と賢さを併せ持った右SBはこの敗戦を糧に、自身を研ぎ澄ませていくに違いない。
(取材・文:元川悦子)
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