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Jリーグ 1か月前

「それでも目指したい」セレッソ大阪GKが感じた10年前の衝撃。福井光輝は今も自宅に西川周作のユニフォームを飾る【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

衝撃を受けた10年前「それでも(西川)周作さんを目指したい」

 懸命にダイブした福井が、必死に伸ばした右手でシュートに触れる。自らはゴール内に転がりこみながらも、ボールをゴールライン上で食い止めた神業セーブを、福井は「落ち着いて反応できた」と振り返る。

「前半も何度かセーブできていたので、自分のなかではリズムに乗れたと思っています」

 試合を通して、視線の先に浦和の守護神、38歳の西川周作がいた。いまも福井の脳裏に色濃く焼きついている衝撃を受けたのは10年前。日本体育大学の2年生だった福井が浦和の練習に参加したときだった。

「練習で僕がシュートを打つ側に回っていたんですけど、もうゴールが小さく見えたというか、どこにシュートを打っても入らないと肌で感じてしまって。やはり違うと感じましたし、それでも周作さんを目指したいとあらためて思ったので。いまこうして、夢のような時間を過ごさせていただいています」

 ともに左利きで、サイズも福井の身長184cm体重78kgに対して、西川も183cm81kgとほとんど変わらない。ゴールキーパーの道を歩みはじめたときから、大分トリニータを皮切りにサンフレッチェ広島、そして浦和で守護神を担い、日本代表にも名を連ねていた9歳年上の西川の背中を追うようになった。

「日本のトップリーグにずっと君臨している姿に、僕もずっと刺激を受けてきました。日本人のゴールキーパーのなかで一番参考にしていて、同時に目標にしてきた選手が周作さんでした」

 しかし、すぐに同じ舞台では戦えなかった。2018シーズンに当時J2を戦っていたFC町田ゼルビアに加入した福井は、ルーキーイヤーからJ2リーグで29試合に出場。チャンスをつかんだと思われた矢先の2019シーズンには、新加入の増田卓也の後塵を拝する形でわずか4試合の出場にとどまった。

 そのオフに背番号を「1」から「42」へ、志願して変更した理由を福井はこう明かす。

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