「それが今のチーム」3戦未勝利の鹿島は難局を乗り越えられるか?
「前期の苦しい試合で勝っていた時は最後全員で体を張ってゴール前を固めて守ることができていた。そこに立ち返りながらやっていく必要があると思います」と背番号1は原点回帰の重要性を強く感じているという。
実際、こういう流れだと、鹿島が試合をひっくり返すのは難しくなる。鬼木監督も交代カードを次々と切って反撃に打って出たが、最後まで堅牢な守備ブロックを攻略しきれない。最終的に鹿島は1−2で敗戦。今季7敗目を喫してしまった。何とか首位は死守したものの、柏レイソルに勝ち点で並ばれ、非常に苦しい状況になってきたのは確かだ。
「1点取られた後、重い雰囲気になった時にうまくいい方向に変えられていない。それが今のチームなのかな」と三竿も顔を曇らせたが、そういう時こそ、守護神が全体を鼓舞するようなアクションを起こしていく必要がある。早川は鹿島の黄金期を知る元日本代表GK曽ヶ端準GKコーチの下で指導を受けているのだから、苦境時の心構えやマネージメントについては日々、学んでいるはず。それを生かしてほしいのだ。
「曽ヶ端さんはGKとしてのディテールにすごくこだわりながらやってくれています。コーチングに関しても言ってくれることはありますけど、やっぱり試合中に自分たちが状況を見ながらどういう声を出さなきゃいけないかと判断していくことが大事。そこはもっともっとやるべきだと思います」
早川も神妙な面持ちでこう語る。偉大な先人からの学びを生かしつつ、ここぞという時に自分からアクションを起こせる図太いGKに彼はどう飛躍していくのか。いずれにしても、3戦未勝利という難局を鹿島は乗り越えなければいけない。早川はそのけん引役になるべき存在。今こそ、彼の真価が問われる時である。
(取材・文:元川悦子)
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