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Jリーグ 5か月前

神谷優太は気づいていた。ファジアーノ岡山を逆転勝利に導く攻撃の質「岡山県が盛り上がる。そのために…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 photo by Getty Images

「色々なことを考えてプレーし…」2人が見せた“質”

「(江坂)任に関してはJ1でもたくさん点を獲ってきた選手で、我々のチームの中ではゴールを生める力がある。今日で2得点目だがチームのバランスなど色々なことを考えてプレーし、ゴールに近づけない時もあったが、今日はそこまで入って足を振ったので質を出せたと思います。(神谷)優太に関してボランチの位置で使うというのは、攻撃に出た時の質を出すために、そこで使っている。これで(直近の)スタメン3試合目だが良い仕事をしてくれたと思います」と。

 その後、終盤にかけて鹿島の猛攻を受ける中でも、ピッチに立つ全員がハードワークをし、集中したディフェンスを披露。試合終了の瞬間を待ち続けたイレブンが長い笛と同時にピッチで喜びを爆発させると、ベンチ前では木山監督を中心にコーチ陣や選手らが歓喜のビクトリーサークルを作った。

 もちろん、その中には破顔一笑する神谷の姿があった。

「監督は『試合ごとに成長していこう』という話しをしてくれているので、それができました。J2から上がって、1試合1試合、勝っていくことは本当に難しいと思います。ただ勝利への執着心はチーム全体にあったと感じます」。J1での奮闘と鹿島に負けるとも劣らない勝利への貪欲さがあったことを明かした。

 鹿島とは4月の第11節にホームで対戦し、この時は1-2の逆転負けを喫していたが、今節は首位鹿島にアウェイでの逆転勝利。「このスタジアムで先制されて逆転勝ちは簡単ではない」と指揮官は口にしていただけに、この勝利は喜びもひとしおのはずだ。

 最後に神谷は次のように言う。

「チームの成長、経験値になったというか、若手選手も多いので、この勝利は自信につながると思います。ただ過信をせず、また一から試合への競争が始まるのでコンディションを整えてやっていきたいと思います」

 3試合連続先発、そして決勝弾を撃ち込んだ活躍にも満足することなどない。謙虚に紡がれた言葉からは確かな力強さが存在する。前を向くその目には自信と覚悟が宿っていた。

(取材・文:石田達也)

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【了】

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