「浦和時代にJ1でうまくいかなくて…」松崎快が抱く危機感
「いろいろなものを昨シーズンの段階から準備してきました。そこの詳細は省きますけど、自分自身、浦和時代にJ1でうまくいかなくて、もう一回J1に挑戦するとなったときに、それなりに準備しないといけない、というのはわかっていました。それがここまでは出ていますけど、それでもチームは勝っていないですし、自分自身も最近は結果を残せていないので、正直、最近の出来としてはダメだと感じています」
準備とはイコール、フィジカルスタンダードをJ1基準に引きあげる作業だった。浦和時代に何度も痛感したからこそ時間をかけて準備してきた。脳裏には清水に対して抱く危機感が渦巻いていた。危機感とはイコール、37歳の大ベテランで、ワールドカップ戦士でもある乾に頼ってきた攻撃陣の現状を指している。
「乾さんが素晴らしい選手、というのはわかったうえで、彼におんぶに抱っこしたままではこのチームは進歩しないと思ってきました。そういう状況から脱却させるためにも、自分がもっと頑張らなきゃいけない。現状、チームが勝てていないので、正直、何を言ってもあれなんですけど……」
前半に迎えた最大の決定機も松崎が演出している。敵陣の左サイドからカピシャーバが送った横パスを北川がスルー。以心伝心で中央にいた松崎が落とし、北川が拾って前を向いている間に、松崎は左手を介して、パスを返してほしいとメッセージを送りながらペナルティーエリア内の右側へ侵入していった。
すかさず北川が縦パスを入れる。足裏で止めるようなトラップから、松崎が時計回りに素早くターン。町田ゴールへ向けて前を向いた動きに、DF菊池流帆は完全につられてしまう。間髪入れずに松崎の左足から放たれたパスに北川が突っ込むも、右足を合わせたシュートはクロスバーの上を通過してしまった。
松崎はこのとき、頭を抱えている。北川のシュートに対してではなく、北川の手前でワンバウンドするパスを供給してしまった自分自身に対してのダメ出しだった。同点を逃した場面をこう振り返った。