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香川真司 9年前

チームを蘇らせた「出し手」としての献身性。それでも――。香川が追求するフットボーラーとしてのプライド

text by 本田千尋 photo by Getty Images

チームに欠かせない「出し手・香川」の存在

チームを蘇らせた「出し手」としての献身性。それでも――。香川が追求するフットボーラーとしてのプライド
香川真司【写真:Getty Images】

 その中で、未だ香川にゴールは生まれない。シュトゥットガルト戦での、“結果的に”オーバメヤンへのアシストとなった場面や、シャルケ戦でのノイシュテッターに辛うじてクリアされたシーンなど、復帰後初戦となったフライブルク戦以来のゴールへの期待は高まってはいるものの、実際にネットが揺すられるまでには至っていない。しかしこれは憂慮すべきことではないだろう。

 シャルケ戦の後で香川は次のように述べている。

「みんな結構受け手が多いですから、出し手という意味では、今そういう役割が自分は多い」

 4連勝の発端となったフライブルク戦でのオーバメヤンの決勝点へのアシストや、シュトゥットガルト戦での2アシストは、その言葉の最たる例ということになる。シャルケ戦でもオーバメヤンやロイスにスルーパスを通し、GKとの1対1といった、アシスト寸前の状況を作り出していった。

 またシャルケ戦では、相手DFを食い付かせて味方のためにスペースを作ろうとする、オフ・ザ・ボールでの質の高い動きも見せている。要するに現在の香川は、どちらかと言うと「出し手という意味で」の“献身性”が目立っているのである。

 そしてオーバメヤンはもちろんのこと、ロイスも「受け手」という、どちらかと言えばフィニッシャーとしての色合いが強い。得点者としての両者に「出し手」としての役割を求める、もしくは求め過ぎると、逆にチームのバランスは崩れてしまう。

 香川が一定の献身性を引き受けることで、現ドルトムントの攻撃の連動がある。オーバメヤンとロイスの4試合連続ゴールが生まれているのは、「出し手」としての香川が存在するからである。

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