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EURO2016 8年前

EUROで見えた歴然たる差。日本と欧州基準は何が違うのか? 強豪国と戦うために求められる抜本的改革

text by 元川悦子 photo by Getty Images

日本に欧州基準のDFはいるか?

岩波拓也 植田直通
岩波拓也(左)と植田直通(右)【写真:Getty Images】

 それでも188cmのロリス(トッテナム)や186cmのコシェルニー(アーセナル)らを軸にしっかりと粘って相手を跳ね返し、カウンターやセットプレーで点を取るという戦い方でファイナル切符を手にした。

 フランスのような大国でさえも、相手によっては、いわゆる「弱者の戦い方」を迷うことなく選択し、実践している。それが今の欧州スタンダードと言っても過言ではない。だからこそ「堅牢な守備組織構築」というのはより重要テーマになっているのだ。

 翻って日本を見た時、守りの脆さや粗さは否めないのは事実。アジアにいる以上、日本はどうしてもボール支配率で上回り、一方的に攻め込む時間帯が長くなる。その分、守りの意識が薄くなり、強固な守備構築というテーマが二の次になってしまう。

 かつて2002年日韓W杯の日本代表を率いたフィリップ・トルシエ監督が「日本には守備の文化がない」と指摘したことがあったが、その現実は変わっていない。アジアにおける地位というのも日本サッカーが攻撃偏重になりがちな一大要因かもしれない。

 とはいえ、強豪国に勝つためには、やはりEUROで躍進した国々の戦い方を学び、活かす必要がある。さしあたって、屈強なフィジカルを擁するGKやDFを発掘し、時間をかけて使いながら育てることは肝要だ。

 そういった人材がいるかどうかを見渡してみると、日本代表センターバック候補者には抜群の身体能力を備えた植田直通(鹿島)がいる。186cm、50mを6秒フラットで走り、高さとスピードを兼ね備えた植田の存在は日本サッカー界にとって貴重だ。

 これまでヴァイッド・ハリルホジッチ監督は一度しかA代表候補合宿に呼んでいないが、8月のリオ五輪のパフォーマンス次第では9月から始まる2018年ロシアW杯最終予選で戦力に加わる可能性も十分にある。

 植田と五輪代表でコンビを組む岩波拓也(神戸)も186cmという高さは魅力的。スピードが植田ほどないのは事実だが、連携面を考えれば2人揃ってA代表に抜擢するのもありだろう。

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