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酒井宏樹が語る、欧州の守備文化。ドイツもフランスも「ドリブラーに対して下がらない」【インタビュー】

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa,Meryll Vian / OM.net 2016,Getty Images

2節ぐらいでブチ抜かれ、守り方を変えた

PSG戦ではディ・マリアらとマッチアップした
PSG戦ではディ・マリアらとマッチアップした【写真:Getty Images】

―――マルセイユに移籍して、10節を終えた今の手応えは?

 対戦するアタッカーに対しては慣れてきたと思います。もう、未知ですからねえ(笑)。フランスリーグにいるドリブラーはすごく難しいです! とくにレンヌのンテップなんかはすごかったですね。

 ベン・アルファやディ・マリアはビデオで見ているので、来るタイミングだとか、逆をとってくるだろうなっていうタイミングが少なからずわかるんですが、初めての選手は本当にわからない。

 その選手が速いのか、どれくらい速いのか、どういう時にしかけてくるとか、ドリブルはどっちの足で、とかもわからない。僕にとって守れる基準はデータや資料といった準備に尽きるので。

 僕は爆発的な筋力やスピードがあるわけでもないから、フランス人と比べて、いざ対面したときにワンテンポ遅れても追いつけるような身体能力は持っていないんです。だからより準備していないとあっさりと抜かれてしまう。

―――そういう準備や、相手の動きを読むことにより集中するようになった部分が、このリーグでプレーする上で鍛錬になっていると感じますか?

 フランスリーグに来て第2節くらいで、1分くらいでブチ抜かれて点を決められたときに、「あ、これはちょっと変えないといけないな」と思って守り方を少し変えましたね。

―――具体的には?

 より距離を近くしたりとか。今まではけっこう相手に受けさせてから守る、という感じだったんですけど、受けさせないようにしたというか、近づけたり、牽制したりとか。

 でもポジショニングに関しては、僕はたぶんまったく良くないと思うんです。きれいじゃないと思う。でも対峙する選手にとっては嫌だな、というポジションをとりたいな、と思っているので。

 存在感って大事だと思うんですよね。相手に「ちょっと嫌だな」と思わせることが。高徳(酒井)とかはそれがすごく上手いんです。

 高徳こそ、外国人と比べると、身体能力の部分ではまだ僕のほうが身長もあるんですが、より頭を使っているというか、相手が来る前の準備がすごいです。ここではファウルしていい、ここはダメとか、受けさせていい、受けさせてはダメ、右を切る、左を切る、といった判断がすごく上手いんです。

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