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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第6回 選手時代の比ではないプレッシャーを感じる日々

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

ゲームを冷静に分析することの難しさ

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第6回 選手時代の比ではないプレッシャーを感じる日々
【写真:©VONDS市原】

 そして最後のミスは同点に追いついたあとの戦い方だ。相手ベンチからの声や、相手選手からの挑発、ヤジというものはサッカーではよくあること。加えて審判の判定というのもサッカーの大事な要素だ。どうしても自チームの目線で主観的に見てしまうこともあり、疑問に感じることが出てしまう。

 また審判も人間なので、実際に判定を間違うこともある。もちろん、そういったことは長年経験してきて、わかってはいるのだが、そのような出来事に対して、その日の自分は必要以上に敏感になり過ぎて、感情のコントロールが難しかった。

 終わってみて、冷静になれば、同点後に残り10分あったことを考えれば、この日は一度ゲームの流れを落ち着かせ、相手の攻撃をしっかり受ける準備をしてカウンターを狙う展開を選ぶべきだった。そちらの方が勝つ確率は間違いなく高かった。

 にもかかわらず自分は前から守備をさせ、一気に逆転をさせようと思い、そのような指示をした。案の定、逆にカウンターを喰らい、ゴール前の混戦から決勝点を与えてしまい、2-3で黒星となった。

 自分の監督経験のなさ、また冷静にゲームを分析することの難しさを改めて知ることとなった。また東京海上がその時点では下位にいたことも、同点後の指示を間違えた要因だったように思う。どんな時でも、対戦相手、審判、選手、勝負事への敬意というものはなくてはならないもの。

 本当に勉強となった一戦だった。

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