ポジションを失ったヒルデブラントが見せたプロフェッショナル
51分にドラクスラーが鮮やかなボレーを流し込み、57分にマティプがスイス王者の息の根を止めるシュートを突き刺した。10人のバーゼルに再びドローに持ち込むチカラは残されていなかった。
アレーナの空気は沸点に達する。途中交代で出場したフクス、ゴレツカは、2点をリードしてなお攻め立てた。オレたちはまだ終わっていない。前へと向かう気迫は、そう言っているかのようだった。
シビれる夜を終えて、辺りを覆ったのは、ただ安堵、だった。
追記になるが、8、9日の練習で最も目を引いたのは、ヒルデブラントだった。フェアマンにポジションを奪われたGKが、今季再び先発することは、ほぼない。ヒルデブラント自身が誰よりそのことを理解しているだろう。
それでも泥にまみれながら、コーチの蹴るボールに一つひとつ食らいついていた。プロとは何なのか。その姿に一端を垣間見た思いがした。第4節チェルシー戦ではミスもあったが、初戦、第2戦の勝利には、彼が貢献したことを心に留めておきたい。
【了】