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日本代表 10年前

日本代表で柿谷が活きない3つの停滞ポイント。チームのズレを生む“前田の亡霊”

text by 清水英斗 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

停滞ポイント2「“柿谷を活かす”共通認識のズレ」

 なぜ、柿谷の動き出しが活かされていないのか?

 ベラルーシ戦の前には、「全員が曜一朗の動き出しをしっかり見るように」という指示がザックから飛んだが、実践できたとは到底言えないだろう。セルビア戦ではある程度ねらっていたが、特にベラルーシ戦は少なかった。

 そこで僕は今野に、「柿谷の動き出しを見るという共通理解に関して、試合でのパフォーマンスはどう感じているか?」と聞いた。それが2つ目の停滞ポイントだからだ。

すると今野は、「いやー……」と言葉を詰まらせた後、少し呼吸をして「正直、(相手の)バイタルは見れてなかったですね。僕から曜一朗はほぼ見れなかった。動き出しを見れたのは、1、2回くらいだったと思います。逆に、僕が思ったタイミングで曜一朗が感じていないときもありましたし」と冷静に振り返った。

 その要因について質問を続けると、「僕のポジションからは距離もあるので、他のポジションで、たとえばサイドやトップ下が前を向いたときにパッと(曜一朗の動きに合わせて)出せれば」と答えた。

 たしかに、左センターバックに置かれた右利きの今野としては、難しいタスクかもしれない。左右両足でボールを扱える今野だが、やはり左足のほうがキックの飛距離や精度が落ちるのは当然だ。

 蹴りづらい場所は、視野の中にも入りづらい。また、柿谷へのパスルート上には相手FW、ボランチ、そしてセンターバックも出て来る可能性があるため、その機会もそれほど多くない。

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