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日本代表 10年前

日本代表で柿谷が活きない3つの停滞ポイント。チームのズレを生む“前田の亡霊”

text by 清水英斗 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

「パスの出し手」には向かない長友と吉田

 では今野が言うように、別のポジションから……と言いたいところだが、もう少し余裕があるはずの左サイドバックの長友佑都は、あまりタイミング良く中央を見られていないし、もともとパスがうまいタイプでもない。

 むしろ、パッサーに活かされるタイプだ。ここ最近はコンディションのせいか、1対1で突破される場面も出てきた。長友と言えど、ベストコンディションでなければ、より技術に長けた酒井高徳を使って組み立てを改善してもいい。

 吉田はどうか? 柿谷へのパスをねらっているか?

 右利きの右センターバックである分、今野よりはダイレクトに裏のスペースをねらう余裕もありそうだが、グアテマラ戦、ガーナ戦で思い切って縦パスを出したチャレンジに比べると、ここでは逡巡する様子が目立った。

 柿谷だけでなく、内田が勢い良く駆け抜けたタイミングに対しても出せていない。珍しく内田が「なんで出さないんだ!」というイラ立ちを露わにした場面もあった。

 吉田はきれいなグラウンダーのインサイドキックを持っているが、空中に浮かすボールがうまいという印象はない。

 このポジションから、バックスピンをかけて味方の走り込みに合わせるような球種のボールを、ポトンと裏のスペースに落とすことができれば、面白いのだが……。そこまで球種を操るほど、吉田はキック技術に優れているわけではない。

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