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日本代表 10年前

左は“ガンガン”、右は“するする”。内田が語る攻撃の哲学「左右同じがいいバランスとは思わない」

text by 河治良幸 photo by Getty Images

「ある程度もうやりたいようにやっちゃっていいのかな」

 右ボランチで先発した青山敏弘が積極的に縦パスを狙ったこともあり、自陣で効果的に相手のプレッシャーをいなすボール捌きは少なかった。その分も、大久保や大迫勇也のキープ力を頼りに思い切った攻め上がりをチャレンジしていた。

 それでも前半が終わると本田圭佑に「もうちょっと右が前に出てこれないか」と要求されたようで、「ある程度もうやりたいようにやっちゃっていいのかな」という意識で前方に絡み、スルーという形ながら同点ゴールを演出した。

 前半の失点につながってしまった場面も、内田としてはチームで崩されたというより、個人でチャレンジしてみた結果だという。「裏に行かれたマインツの選手(ディアス)は知っていたんで、ボール取ってやろうと思って、いつもより1メートル、2メートルくっついちゃった。悔しかったね」。

 ただ、その直後は一度止まってしまったことで、森重が中央からワイドに引っ張り出され、得点したブライアン・ルイスにうまく合わせられる前提を許してしまった。

 そうした場面に関して淡々と語る内田ではあるが、課題をロジカルに整理してその後に活かす選手であることは過去の対応から見ても明らか。とはいえこの2試合はフル稼働できないジレンマを抱えながらも、どんな時に何ができるかをある意味で楽しみながら探っている様子だ。

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