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日本代表 10年前

左は“ガンガン”、右は“するする”。内田が語る攻撃の哲学「左右同じがいいバランスとは思わない」

text by 河治良幸 photo by Getty Images

「右と左が同じように攻めるのがバランスいいとは思ってない」

左は“ガンガン”、右は“するする”。内田が語る攻撃の哲学「左右同じがいいバランスとは思わない」
合宿を経て、内田はどういったプレーを導き出すのか【写真:Getty Images】

 攻撃的な長友との左右の関係についても「右と左が同じように攻めるのがバランスいいとは思ってない」と語る通り、左サイドを“ガンガン”仕掛ける長友に対して、リスク管理やビルドアップを頭に入れながら、“するする”と駆け上がって効率良くチャンスを構築している。

 ビルドアップに関しては、大半の試合でチーム随一のパス数を叩きだすシャルケに比べ、代表ではかなり下がる事実がデータに示されている。しかし、本人は「ポゼッションでボールを回すことが不得意だと思ったことはないので、代表でも回ってきたら回します」と語り、数字自体はそれほど気に留めていない。ただ、その中でも右サイドでのボール捌きにはかなりのこだわりがある。

「どのチームもサイドバックに出させて、そこで追い込もうというのが今のサッカーで、そこで簡単に取られるようなサイドバックだときつい。自分がそこにいながら一緒にボールを運べるような選手はやっぱり見ていてもすごいと思うし、ラーム(ドイツ代表)とかはうまい。縦に行くだけだと自分のスペースを空けちゃうので難しい。ただ前に行って後ろに戻れないというのはちょっと違うと自分は思っている」

 勝利から逆算しながら、最適な方法を探すこと。それは日本を躍進に導くための内田なりの哲学であり、同時にサッカーの醍醐味なのだろう。コンディションと相談しながら、残る1試合と10日あまりの合宿を経て、内田はどういったプレーを導き出すのか。4年前とは明らかに違う充実感の中でW杯を迎える。

【了】

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