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やらせてもらえなかった“自分たちのサッカー”。日本の長所を消し、短所を突いたコートジボワールの戦術的意図

text by 神谷正明 photo by Getty Images

無力化された日本の“武器”左サイド

 コートジボワールは日本のストロングポイントである左サイドの攻撃もうまく封じてみせた。

 かつてイビチャ・オシムは当時全盛期にあったロナウジーニョを抑える方法について「ロナウジーニョが戻って守備をすれば、彼はロナウジーニョではなくなる」と語ったことがあるが、コートジボワールがやったことはまさにこれだ。

 コートジボワールは数的優位を生かしてボールを回しながら、右サイドから徹底的に攻撃を仕掛けた。そうすると日本は、左サイドの長友と香川が守備に回らざるを得なくなり、攻撃を高い位置でスタートさせることができずに長所が消されてしまう。

 日本の左サイドからの攻撃はやり切るところまでもっていくことができれば相手にかなりの脅威を与えられるが、中途半端な形でボールを失った時にはむしろウィークポイントになる。

やらせてもらえなかった“自分たちのサッカー”。日本の長所を消し、短所を突いたコートジボワールの戦術的意図
香川は右サイドの岡崎慎司とは異なり、本来守備が得意な選手ではない【写真:Getty Images】

 香川は右サイドの岡崎慎司とは異なり、本来守備が得意な選手ではないし、攻撃時に中に絞ってプレーする傾向が強いため、ボールを失った際にはサイドへの対応が遅れることが多い。

 コートジボワールはその日本の弱点を突き、特に右サイドバックのオーリエが積極的に攻め上がることで日本を窮地に追い込んだ。いくら長友の守備能力が高いと言っても、1人でジェルビーニョとオーリエの2人を見ることはできない。

 日本はオーリエをフリーにしたことでクロスから2失点を喫しているが、長友が「あの状況で僕自身はあそこにいけない」と話したように、オーリエはフリーになるべくしてフリーなっていた。

 日本は攻守においてコートジボワールの術中に陥った。この試合に限って言えば、コートジボワールの方が一枚上手だった。ただ、終わってしまったことを悔やんでも仕方ない。1次リーグはまだ2試合ある。

 ギリシャやコロンビアがコートジボワールと同じような策略を練ってこないとも限らない。その時に今度はしっかりと対応できるか。

 長友は「コートジボワールが学ばせてくれた部分もある」と話したが、その教訓を重要な次の2試合で生かせるかどうかが重要になってくる。

【了】

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