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スペインメディアが見た日本。「立派な試合以上のものをした」。なぜか高評価、その背景にある厳しい現実

text by 山本美智子 photo by Getty Images

香川へのバッシングは期待の裏返し。バッシングなければ期待もない

スペインメディアが見た日本。「立派な試合以上のものをした」。なぜか高評価、その背景にある厳しい現実
香川真司【写真:Getty Images】

 だが、こういった批判は額面通り受け取ってはならない。サッカー文化が定着している国で活躍できなかったことを非難されているのは、活躍できる選手だと根本で評価されている証明であり、香川が責められるのは期待の裏返しなのだ。

 つまり、バッシングされない香川以外の選手は、ほとんど期待されていないに等しいと言ってもいい。「時速100キロのゴールを決めた」とエル・ムンド紙にも報じられた本田は試合に貢献したので話は別だが、その本田のゴールも結果的には助けにならなかった。

 もとい、スペイン的には今回の日本対コートジボワール戦が行われたのは、午前3時だったため、大半は試合全体を見ていないと思われる。

 しかし、報道局は本田がゴールを決めるまで、「日本は試合をコントロールしている」、「非常によくオーガナイズできている」、「日本の最近の成長ぶりは目覚ましい」、「昨年のコンフェデレーション杯にしても、ベスト8でスペインと対戦しなかったのは、唯一PK戦が阻んだだけではないか」などと賞賛していた。

 以前は一人の名前を発音するのさえ、困窮していたスペインだが、「伝説的選手、遠藤」などと過去の遠藤での活躍を思い出し、交代をアナウンスするなど、日本での知名度がぐっとあがっていることが、今回のW杯では垣間見えた。

 だが、コートジボワールに負けた今、日本代表の評価は再び過去に使われた形容詞のリサイクルとなった。

 技術的には優れている、ボールタッチもうまい、優秀な選手が揃っている、アフリカ代表のフィジカルにテクニックで応え、試合を支配している…。

 そしてそういった賞賛の後に「だが、勝てない」と続く。4年前と変わらない。

 日本は支配したが、負けた。一言で言えば、「日本代表にはドログバがいない」。これが第一戦を終えた日本代表に与えられたジャッジだった。

【了】

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