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なぜ10人の相手を崩せなかったのか? キャプテン長谷部が語るギリシャ戦で足りなかったこと

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「とにかく祈るしかなかった。勝ちきれなかった」

「初戦の負けを引きずることはなかった。最初から全員で前からプレスをかけて、ボールを取られた時もプレスをかけるっていうのは話していましたし、切り替えもできていました。ゲームの入り方も試合全体の前への意識も、初戦とは比べものにならないくらいよかった。意思統一の効果が出ていたと思います。

 前半は相手も多少、前に来ている部分もありましたし、相手の中盤の2番(マニアティス)と8番(コネ)が僕らボランチのところまで来ていたので、相手が1ボランチになって、中盤のスペースが非常に空いていた。

 そこにいい形でパスが入れば嘉人(大久保)さんや圭佑(本田)、オカちゃん(岡崎慎司)、サコ(大迫勇也)が前を向けていい形を作れていた。

 ああいう形をもっと作りたかったってのはありますね。その時間帯にもっともっとチャンスを作りたかったし、決めきれなかったのが悔やまれるところですね」と長谷部はいいリズムで戦っていたこの時間帯が勝負の分かれ目になったと振り返る。

 試合が大きく動いたのは、前半38分のカツラニスの退場。そのプレーを誘ったのも長谷部だった。早い時間帯に数的優位となり、日本は一気に相手ゴールへと襲い掛かるはずだった。が、逆に守備に集中してきたギリシャの術中にはまってしまう。

「やっていても見ていても、11対11でやっていた時の方がウチとしてはやりやすかったというか。相手が10人になって、完全に守る形になってからの方が難しくなってしまったのは事実です。

 あれだけ引かれた相手に何が足りなかったのかと言えば、シンキングスピードだったり、オフ(・ザ・ボール)の動きの強さとか速さだと思いますし、崩しきれなかったのは自分たちの攻撃力の足りないところ。

 後半はベンチに下がって、とにかく祈るしかなかった。勝ちきれなかったですね…」と長谷部は天を仰いだ。

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