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ドイツを優勝に導いた理想と現実の“バランス”。アルゼンチンを上回った“総合力”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

足が止まったアルゼンチン

 アルゼンチン代表も、攻撃がメッシ頼みで苦しいのは明らかだった。ディ・マリアがいれば、また少し変化を加えられたかもしれない。互いに中盤の肝を欠いたことで、均衡したゲームとなった。

 ドイツ代表は、36分、43分にミュラーが左右に流れてチャンスを作るが、折り返しをシュールレは決め切れず、クローゼには合わない。前半を0-0で折り返す。

 後半に入っても試合の展開は変わらない。アルゼンチン代表は、マスチェラーノを中心とした7人で中央を厚く閉ざした。ドイツ代表の攻撃は必然的にサイドへと寄っていく。右サイドから、58分、ラームのクロスを合わせたクローゼのヘッドはロメロにキャッチされ、81分、エジルの折り返しからクロースが放ったミドルは、右へと逸れてしまう。

 その間アルゼンチン代表も、74分にメッシがペナルティエリアの前を左に流れてドリブルからシュートを放つが、ヘーヴェデスが粘り強く対応する。シュートは左に逸れていった。

 試合は延長戦へと突入する。延長の戦いは、アルゼンチン代表にとっては今大会3度目となり、ドイツ代表にとっては2度目だった。その差が、決定的なものとなったのかもしれない。延長に突入して数分すると、アルゼンチン代表の足は止まり始めた。

 そして113分、シュールレが左サイドを突破する。折り返されたボールは、走り込んだゲッツェが胸でトラップして、そのまま左足で鮮やかにゴールへと突き刺した。ゲッツェの一撃が決勝点となり、ドイツ代表はアルゼンチン代表を1-0で下して、4度目の王座へと辿り着く。

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