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【欧州最先端の戦術分析】ザックジャパン、3つの敗因。日本らしいサッカーを進化させるために必要なこととは?

text by 小澤一郎 photo by Getty Images

【敗因3】日本に足りなかったコンビネーションプレー

 切り替えの重要性はここ数年特に高まってきていますが、攻撃から守備への切り替え局面をどう迎えるかは、つまり「どうボールを失うか」を考えることです。サッカーにおいて、守備に入るパターンはボールをロストするかアウト・オブ・プレーとなって相手ボールのリスタート(スローイン、ゴールキック、フリーキック)になるかの2つしかありません。この2つの入り方を整理することで、守りやすい状態で攻撃から守備への切り替え局面を迎えることができます。

 ボールロストによる失い方のオーガナイズを考える時には、カウンターの回避についてチーム内で考え方を共有する必要があります。特に、第3戦のコロンビア戦では悪い形でボールを失ってしまい、相手のカウンターから失点したシーンが続きましたが、特にCBとボランチは味方が攻めている時に相手のカウンターの起点となるパス、FWに対する警戒と適切なポジショニングが必要となります。

 長谷部は前に出てプレッシングに行くことが多かったですから、もう一人のボランチ(山口)がCBの前のスペースに残りバランスを取る、ボランチ二人がやむを得ず出て行った時にはCBが前に出て行く、つまり縦のスライドを行い、ボランチのスペースを埋めるような連携が必要となりますが、それらが徹底されていませんでした。

【敗因3】日本に足りなかったコンビネーションプレー

 もう1つの失い方であるアウト・オブ・プレーですが、これは基本的に日本がフィニッシュで終わることを前提としたものです。日本では「決定力」という言葉で片付けられがちですが、今大会の日本のフィニッシュ面での課題の一つが中盤での組み立て、相手DFラインの背後に侵入していく時のコンビネーションプレーにありました。特に、2人、3人が絡んだコンビネーションプレーには改善の余地があります。

 簡単な例で言うと、2人ならばワンツー、壁パスで、3人であれば2人目がダイレクトで3人目にパスを出すワンタッチプレーの入ったコンビネーションプレーです。ボール保持を狙うチームがフィニッシュで終わろうとすれば、こうした連携を用いてスペースのない相手の守備ブロックを打開しなければいけません。今大会、他国の攻撃を見ても組み立て時にワンタッチプレーが出る時にはチャンスが生まれています。

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