岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その1)健全な組織の発展妨げた川淵氏の権力増大と院制
ただ騒ぐだけの日本のW杯中継を見ていると、無性にこの2人の言葉を聞きたくなった。元JFA会長の岡野俊一郎氏とフリーアナウンサーの金子勝彦氏。現在のサッカー中継に求められることについて、その草分け的存在である二人に語ってもらった。
2014年07月21日(月)12時45分配信
ドーハの悲劇と同じような感覚
――地球のちょうど裏側で開催されてきたW杯・ブラジル大会は、時差の関係もあって日本中のサッカーファンを寝不足状態に誘いました。
岡野 オリンピックと同じで、現地へ行っているほうが楽でいいですよ。昼夜が逆転しないからね。現地だと移動などで実際に見られる競技や試合の数は限られてくるけれども、日本にいるとテレビ中継ですべて見られる。嬉しい悲鳴ですよ。もっとも、日本代表のグループリーグ敗退は開幕直前に予想出来たので、残念でしたが僕にとってはショックではありません。
金子 僕は大ショックですよ。コロンビア代表との最終戦をテレビ観戦しながら、実は『ドーハの悲劇』を思い出していました。ジャクソン・マルティネスに勝ち越しゴールを決められたシーンはオムラムの同点ゴールと重なるものがありましたし、最後は史上最年長出場記録更新のためにキーパーまで代えられて、ある意味で屈辱まで味わわされました。
悔しいはずなのに涙が乾いてでてこない感覚は、1993年10月28日のイラク代表戦の中継をスタジオで担当して以来ですね。あのときの僕は言葉を失ってしまって、プロデューサーから「何か話して」と指示されて、我に返って発したのが「サッカーの世界では、天国と地獄を見て初めて本当のサポーターになれるという言葉があります」でした。
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