北海道の熊になってたまるか――。釜本氏との信頼と深い愛。クラマー氏が残した世界基準の育成術

2015年09月24日(Thu)10時39分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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選手自らの力で答えを出すために

 16歳の少年が、初めて会った外国人のコーチから「北海道の熊」呼ばわりされる。かなりのショックを受けたはずだが、クラマーさんは「北海道の熊から脱却するための方策」を教えてはいない。

 最小限のヒントを込めながら過激な言葉を浴びせることで、自らの力で答えを弾き出させるように導く。たとえ試行錯誤を繰り返したとしても、その過程が成長につながるとクラマーさんは考えていた。

 果たして、山城高校から早稲田大学に進んだ釜本は、当時では数少ない海外選手の資料を集めては徹底的に研究した。そのなかで、自分なりの結論に達したという。

「要は余計なことをしない。ボールの受けるときの体勢の問題なんですよ。相手に背中を向けてボールをもらえば、まともにプレッシャーを受けてしまう。相手のマークから一瞬だけ離れて半身になって、肩でプレッシャーを受け流しながらボールをもらう。このやり方だと、ボールをまたぐだけですぐに前を向くことができる。南米の選手はみんなそうしていたんですね」

 目標としていた東京五輪が近づいてくると、クラマーさんは再び厳しい言葉を釜本に浴びせている。

「ミギ、インターナショナル。ヒダリ、ハイスクール」

 利き足と逆の左足によるシュートがあまりに拙いことを揶揄された釜本は、当然ながら上達法を教えてくれないクラマーさんに対して一念発起。何とも奇想天外な練習に取り組み始めた。

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