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日本代表 8年前

U-23代表が抱く自信と危機感。リオで勝つために“レギュラー奪取”を

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel , Getty Images

生き残りのために求められる所属クラブでの活躍

 大仕事という意味では、決勝戦で2ゴールを奪った浅野拓磨(広島)も忘れてはならないだろう。

 2015年Jリーグベストヤングプレーヤー賞に輝いた点取り屋は所属クラブ同様、今回もジョーカーとして起用されながら、要所要所で決定機を外してきた。それでも手倉森監督は辛抱強く使い続け、韓国戦で逆転へののろしを上げる1点目、試合をひっくり返す3点目を挙げるに至った。

「沢山の選手がゴールを取っていく中で自分も取らないといけないという焦りは多少あった。でもどちらかというと、みんなからいい刺激をもらって前を向いて取り組むことができた。

 監督に早く恩返ししたかったし、自分もできるんだっていうアピールをしなくちゃいけないと思ったんで、あの2点でそれを果たせた。三重の家族にもいい報告ができるのがうれしいです」と浅野は満面の笑みを浮かべた。

 彼を含めて攻撃陣は南野拓実(ザルツブルク)とオナイウ阿道(千葉)を除く全員がゴールし、中盤の中島翔哉(FC東京)や原川や豊川雄太、矢島慎也(ともに岡山)らも得点者に名を連ねた。この中から誰が抜け出して本大会メンバーに生き残るのか。オーバーエイジの活用も有力視されるだけに、本大会のメンバー入りへの道は一層の狭き門になるのは確かだろう。

 実際、遠藤にしても新天地・浦和レッズでどういう使い方をされるのか分からないし、櫛引も鹿島アントラーズでは曽ヶ端準という偉大なライバルがいる。植田、浅野、大会MVPの中島でさえ、クラブでは定位置をつかめていない。今後、各チームで定位置を取ることが生き残りへの重要な一歩となる。

「鹿島で試合に出なければリオに選ばれる可能性も少なくなる。必ずレギュラーを取らなきゃいけない」と植田が言えば、浅野も「選手である以上、先発へのこだわりはもちろんあります。今季はスタメンで出ることがまず第一。そのうえで最低2ケタゴールを取っていかないといけない」と強調した。

 他の選手たちからも「大事なのはこれから」という言葉が次々と聞こえてきた。手倉森ジャパンはクラブでの出場実績の少ない選手が多いだけに、そのマイナス面をどう克服していくかがリオ五輪、そして未来の日本代表での成功に直結する。彼らには強い危機感を持って、今季のJリーグを戦ってもらう必要がある。

【了】

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